アステラス製薬と京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は6月18日、腎臓の再生医療に関する共同研究として、ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)およびヒト胚性幹細胞(ES細胞)から腎臓を再生する過程の1つの段階を効率よく進める方法を開発したと発表した。

同成果は、アステラスとCiRAの長船健二 准教授らによる共同グループによるもの。詳細は「国際幹細胞学会(International Society for Stem Cell Research:ISSCR) 第11回年次総会」にて発表された。

腎臓の再生医療は、ドナー不足が問題となる腎移植以外、有効は治療法がない慢性腎不全などの難治性腎疾患の治療に貢献するものとして開発が望まれている。

これまで研究グループでは、ES細胞やiPS細胞のような多能性幹細胞をもとに、腎臓が発生する過程で生じる中間中胚葉を効率よく作製する方法を開発しているが、今回の研究では、この中間中胚葉を各種の増殖因子や化合物で処理し、ネフロンを構成する前段階の細胞であるネフロン前駆細胞を効率よく作り出す方法を開発した。

また、同方法で作製したネフロン前駆細胞を解析した結果、生体のネフロン前駆細胞に特徴的な各種の遺伝子が発現していること、ならびにネフロンを構成する細胞になる能力があること、in vitro 3次元培養系やin vivoで尿細管に特有のたんぱく質を発現し、尿細管に類似した立体的な構造を形成することも確認したという。

これらの結果は、ヒトiPS/ES細胞が、胚発生と同様のプロセスによりネフロン前駆細胞になりうることを示すものだと研究グループは説明しており、今後は、ネフロン前駆細胞から、ネフロンを構成する糸球体および尿細管に存在する細胞を作製する方法の開発を進めるほか、将来的には、薬剤の評価や疾患モデルの作製を通した治療薬の開発への応用や根治療法となりうる細胞治療などの再生医療の実現へ可能性を広げていきたいとしている。

今回の成果のイメージ図