計測機器大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは6月11日、同社の通信、航空・宇宙・防衛システム向け設計プラットフォーム「SystemVue」向けリファレンス・ライブラリ「GNSS(Global Navigation Satellite System)ライブラリ(W1919)」および「デジタルモデム・ライブラリ(W1902)」を発表した。

2製品ともに、システム設計エンジニアやアルゴリズム研究者に、研究開発プロセスの初期段階の設計シミュレーションにおいて、機器のエミュレーションを行う標準リファレンスを提供するもので、これにより衛星ならびに通信システムについて、ベースバンドやRFのハードウェアが完成する前段階であっても、現実世界における各種悪条件下を想定した検証が可能になるという。

具体的には、GNSSライブラリでは、GPS送受信アルゴリズム・リファレンス、フェージング、マルチ衛星のコンステレーションへの対応、Beidou、GLONASS、Galileo の変調リファレンスが提供され、SystemVueと同社のRFシミュレータや測定器とリンクさせることで、衛星ナビゲーションシステムの研究開発ライフサイクル全般にわたって、さまざまな観点からの設計フローを提供することが可能になるとする。

一方のデジタルモデム・ライブラリは、フレーミング、同期、イコライゼーション、リトレーニング、フィルタリング、サンプリング、直接シーケンス・スペクトラム拡散(DSSS)対応などを必要とする衛星通信設計者向けに、シミュレーションツールの自作を不要とするもので、簡単に使える信号処理リファレンス・モデルとして、衛星、軍事用無線通信システム、商用無線通信システムで使用されているデジタル変調方式約35種が提供される。

また、SystemVueを通しての信号生成や測定にも対応しているほか、デジタル・プリディストーション、DSSS通信、BERアプリケーションの実際の部品を用いての試験に対応しており、異なる箇所の設計者(例えばベースバンドやRF部品設計者、システム・アーキテクトや検証担当者)間で、各種規格の共通リファレンスとして利用することも可能だという。

なお、W1919はSystemVue 2013.01の一部としてすでに利用が可能になっているほか、W1902は2013年8月より提供開始となる予定で、同社Webサイトから早期使用の申し込みが可能となっている。

GNSSライブラリの利用イメージ