iPhone 4

米国際貿易委員会 (ITC)は6月4日 (現地時間)、韓国のSamsung Electronicsが保有する特許 (No.7,706,348)を米Appleの一部の製品が侵害しているとして、それらの製品の米国での輸入および販売を差し止める排除命令を下した。

差し止め対象は、iPhone 4 (AT&Tモデル)、iPhone 3GS (AT&Tモデル)、iPhone 3 (AT&Tモデル)、iPad 3G (AT&Tモデル)、iPad 2 3G (AT&Tモデル)の5製品。これに用いられている部品が、"348特許"と呼ばれるCDMA通信システムにおけるエンコーディング/デコーディングTFCIに関する特許を侵害しているとITCは認定した。「米国において348特許が有効であることをSamsungが証明したのに対して、Appleによる適切な反証がなされなかった」(ITC)。

ITCの決定はバラク・オバマ米大統領と米通商代表部に送られてレビュー(期間:60日)が行われる。オバマ大統領は特許制度改革を推進しているが、ITCの決定を大統領が覆すことは稀である。承認されれば、ITCの決定は発効する。こうしたプロセスとは別に、AppleがITCの判断を不服として連邦裁判所に控訴することも可能だ。

排除命令が発効した場合のAT&TおよびAppleが被る損害については、対象機種がいずれも旧モデルであることから限定的という見方が大勢だ。Forbesの取材に対してPiper JaffrayのGene Munster氏はAppleの損害を売上げの1%に相当する6億8000万ドルと推測する。差し止め対象機種の中で今も販売量が多いのはiPhone 4のみであり、3月期はAppleの売上高の8%だった。6月期、9月期には、その割合がさらに下がり、AT&T分は1%程度と見る。またITCの最終判断とは別に、次期iPhoneと噂されるiPhone 5Sの発表に向けてAppleがiPhone 4の在庫を整理しなければならないタイミングであることも指摘している。