歯茎の付近にある「ホワイトスポット」が「隠れ虫歯」のしるし(写真提供:田上順次先生)

虫歯と言えば、「黒く変色した痛みのある歯」と認識している人も多いかもしれない。しかし、一見虫歯には見えない白い歯も、最新の歯科診断基準「ICDAS」(アイシーダス)では虫歯と診断されることもある。そんな「隠れ虫歯」対策を、東京医科歯科大学大学院の田上順次先生に伺った。

「隠れ虫歯」ならまだ間に合う

「隠れ虫歯」の主な特徴は、通常の歯の色よりも白い「ホワイトスポット」があることで、これは歯からミネラルが溶け出してしまっている状態だ。そのまま放置していると、やがて穴の開いた虫歯へと進行する。「隠れ虫歯」の段階であれば、きちんとケアをすることで健康な歯に戻すこともできるが、一度穴が開いてしまうと、歯を削るなどの治療が必要となる。

どうすればこの「隠れ虫歯」を発見できるのか、その対策も含めて田上先生に教えていただいた。まず、以下の項目で当てはまるものがあるかチェックしてみよう。

(1)歯の根元にほかよりも白いスポットがある
(2)1年以上歯医者に行っていない
(3)歯を磨くと歯茎から血が出る
(4)仕事をしながらおやつを食べることが多い
(5)早食いだと言われる
(6)スイーツや柔らかいパンなど、優しい食感の食べ物が好き
(7)仕事によるストレスを感じやすい
(8)睡眠時間が少ない、又は睡眠不足だと感じることがよくある

東京医科歯科大学大学院の田上順次先生

(1)(2)に該当した人は、既に隠れ虫歯がある可能性が高い。初期虫歯のケアについて歯科医に相談するか、定期的に歯科医院で検診を受けて歯石除去などのケアを検討したい。

(3)に該当した人は、毎日のブラッシングが正しくできていない可能性がある。力の加減も含めて、正しいブラッシング方法を歯科医に相談してみるのもいいかもしれない。

(4)に該当した人は、常に歯からミネラルが溶け出している状態になっているので注意が必要。おやつに含まれる糖類は歯の中にあるミネラルを溶かしてしまうが、通常は唾液中のミネラルによって再石灰化が促される。しかし、常に口の中に糖がある状態だと再石灰化が損なわれてしまい、結果、虫歯を招いてしまう。

対策として、食習慣・おやつを見直すことが挙げられる。また、口さみしい時はシュガーレスガムを噛(か)むことで唾液量を増やし、ミネラルを口の中に補給するのもおすすめだ。ガムは「CPP-ACP」などのように、再石灰化成分を配合したタイプを選ぶようにしよう。

(5)~(8)に該当した人は、唾液量が少なくなっている可能性がある。咀嚼(そしゃく)量が少ないことや交感神経の過度な緊張は、唾液の分泌を損ねさせてしまう。(4)と同じようにミネラルが取り込めず、虫歯のリスクが高くなる。

対策として、噛み応えのある食材を多く取り入れてよく噛むようにする、「CPP-ACP」など再石灰化成分を配合したシュガーレスガムを噛むことを習慣付けるなどが挙げられる。また、ストレスをためないように、リラックスできる時間を積極的にもつことも心がけたい。