中国人の妻と結婚して9年目になる著者が、日常生活を送る中で感じた、日中の文化の違いを紹介するコラム【中国人妻、あるある!】。前回までは、「冷たい飲み物を飲みたがらない」「生の海産物を口に入れない」「野菜と果物が異常に好きである」と飲食関連だったが、今回は「オタクを非常に高く評価する」ことを紹介したい。

オタクは主に男性が多く、日本では女性に共感を得られない場合も多くあるが、妻によると中国ではどうもそうではないらしい。機械いじりが好きだとか、IT機器の操作に長けていたり、ネットリテラシーが高かったりする場合、女性から非常に尊敬されるという。妻もそうした趣味や特技を持つ男性を非常に高く評価している。

私は根っからの文系で、自分が卒業した学部学科や、新聞記者をやった経験を誇りに思っているのだが、妻が私に初めて会った時、私の経歴を話しても、「ふーん」という感じで、高い評価ではなかったらしい。

そういわれれば、中国共産党の指導者も理系で、エンジニア出身が多い。鄧(トウ)小平氏より後の中国の指導者である元国家主席の江沢民氏は上海交通大学、前国家主席の胡錦濤氏は清華大学、現国家主席の習近平国家主席も清華大学の出身で、いずれも理系の名門大学である。共産党中央委員会総書記も兼ねたこの3人の国家主席だけでなく、中国の最高指導部である中国共産党中央委員会政治局常務委員も、理系・エンジニア出身が多い。

そう考えると、文系である東大法学部出身の大蔵・財務官僚が国家運営を主導してきた日本との違いは明らかだ。理系やエンジニアに国家を託す国の出身の妻が、日本のオタクやエンジニアの男性を高く評価してもおかしくないはずだ。

中国では検索エンジンの百度をはじめ、アリババなど民族資本によるIT企業が数多く育っており、中国の理系・エンジニアを尊ぶ風土が、そうした企業の後押しになっていることは想像に難くない。

というわけで、ITにも疎く、機械の簡単な修理もできない私はいつも妻から手厳しい評価を受けている。なんでも数字に置き換えて考える妻は、家計管理などに優れており、私は勝手にいい補完関係にあると思っている。だが、理系的知識や技能、IT技術に優れた人がテレビに出るたびに、「こういう人たちへの評価が日本ではもっと高くなったらいいね」と話すのを聞くたび、妻の私のキャリアへの低い評価が、頭の中で被害妄想的に広がる今日この頃である。

(イラスト : ミサイ彩生)