北陸新幹線金沢開業で経営分離される並行在来線のうち、富山県の北陸本線石動~越中宮崎間について、30日、新商号(社名)が「あいの風とやま鉄道株式会社」に内定した。

富山県並行在来線「あいの風とやま鉄道」では521系が活躍予定(写真はイメージ)

現在のJR北陸本線金沢~直江津間は、2014年度末に予定される北陸新幹線長野~金沢間開業を受けて経営分離され、各県ごとに第3セクター鉄道による運営となる。新潟県内の区間(市振~直江津間)は、路線名が「えちごトキめき鉄道 日本海ひすいライン」に決まり、石川県内の区間(金沢~倶利伽羅間)も、新社名が「IRいしかわ鉄道株式会社」に内定した。

富山県の並行在来線については、昨年12月より3カ月間にわたって新社名が公募された。計5,380件の応募があり、有識者で構成される「社名選考委員会」で3作品を選考。5月29日に行われた取締役会にて、「あいの風とやま鉄道株式会社」が新商号に選ばれた。

「あい(あゆ)の風」とは、春から夏にかけて吹く北東の穏やかな風。万葉集でも、「東風(あゆのかぜ)」と詠まれた歌が4首あり、豊作・豊漁などの「幸せを運ぶ風」として親しまれているという。「この『あいの風』のように、県民に豊かさ、幸せを運び届け、利用者との『出会い』を大切にし、県民に『愛』される鉄道をめざしたい」と同社。新商号は6月下旬の定時株主総会にて決議予定となっている。

なお、経営分離後の運行計画については、今年1月に策定された「富山県並行在来線経営計画概要(最終)」に記されている。現在の北陸本線の線路形態(複線・電化)を活用し、521系(2両ユニット)16編成、413系(3両ユニット)5編成を譲り受けて列車を運行する。

多くの利用者が見込まれる朝夕の時間帯には521系・413系を併用し、朝の時間帯には列車の増便(一部区間を除く)も行う。日中は521系のみの運行。普通列車中心となり、特急列車の通過待ちが改善されるので所要時間も短縮され、利便性の向上が図られる。さらに、高岡~西高岡間および富山~東富山間で新駅の設置も計画されているとのことだ。