ExtremeTechの記事「Twin beams of noise-canceling laser light achieve fastest, farthest data transfer record」が、光ケーブル通信の通信距離を引き伸ばし、かつ、通信速度を引き上げる新技術を紹介した。ニュージャージーのベル研究所の研究者Xiang Liu氏らの取り組みを紹介したもので、12,800kmという長距離の光ケーブル通信において400Gbpsの通信を実現したとしている。これは既存の設備の約10倍の通信速度に相当する。

光ケーブル通信において通信距離を引き伸ばす場合、ビームの出力を引き上げる必要がある。しかし単純に出力を引き上げればよいというものではない。ビームの出力を引き上げると光ケーブル内部で発生するノイズも増えることになり、結果としてデータが壊れることになる。

ベル研究所の研究者はこれに対し、2つのビームを同時に出力する方法を考案。これはヘッドフォンやイヤフォンで採用されているノイズキャンセリング技術と同じ発想に基づくもので、2つのビームがお互いに発生させるノイズを相殺する効果を発揮し、結果としてクリアなシグナルが終端に到達するようになったという。ビームの出力を挙げることができ、結果として長距離通信と通信速度の向上が実現したとしている。

この新技術は既存の通信ケーブルをベースにしながら通信速度の大幅な向上を実現できるという点が注目される。データ通信量は増加の一歩を辿っており、キャリアは通信バックボーンの帯域幅引き上げという課題に直面している。ベル研究所の発見した技術がいつ市場に投入されるかといった話は出ていないが、こうしたバックボーンの通信帯域を引き上げる技術として注目される。