経済協力開発機構(以下、OECD)は23日、「対日経済審査報告2013」を発表した。それによると、日本の実質国内総生産(GDP)成長率予測は、経済回復などを理由に2013年、2014年ともに1.4%程度となり、2012年11月時点の予測から上方修正された。

同報告書では、安倍政権が提唱する「3本の矢」(大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略)を歓迎するとした上で、日本は景気拡大の構えを見せているものの、長期的な成長見通しに関しては、「依然として経済活性化および持続不可能な公的債務を削減するための追加的対応が講じられるかどうかにかかっている」と指摘している。

アンヘル・グリアOECD事務総長は、「アベノミクスが、企業や家計の自信を回復させ、日本のムードを変えた。今後の景気拡大は、輸出に後押しされ、それが事業投資と雇用の拡大につながり、デフレに終止符が打たれると予測される。しかし、最近の進展には期待が持てるものの、極めて高い水準にあり、しかも増え続けている日本の債務残高と人口高齢化が引き起こす他の課題に対応していくことが依然として極めて重要である」と述べている。

また、日本の公的債務残高は2012年に、OECD加盟国中で過去最高となるGDPの2.2倍に達したとし、GDPのおよそ1割に当たる多額の財政赤字から抜け出せていないと指摘。債務比率が未知の領域に突入しつつある中、財政の持続可能性を早急に回復する必要があると強調している。これについてグリア事務総長は、「財政の持続可能性が最大の懸念とされているが、今年後半に政府が発表する予定の中期財政目標が状況改善に役立つことを期待する」とコメントしている。

さらに、中期財政目標は、2020年までに黒字化を実現し、公的債務比率を安定化し得る大幅な支出削減と増税を盛り込むべきだとし、「日本の財政状況が市場の信頼を保ち、長期金利上昇のリスクを緩和するためにも、詳細かつ信頼のおける計画が不可欠」と主張している。

同報告書ではこのほか、米の生産調整制度(減反)の段階的廃止を行う農業規制改革、再生可能エネルギーの発展を促し、発送電の分離や卸売・小売市場の競争拡大の実現を目指すエネルギー部門の再構築、女性の労働市場参加促進などを求めている。