俳優・中村蒼が、佐々部清監督作『東京難民』(2013年公開)で主演を務め、女優の大塚千弘、山本美月、俳優の中尾明慶らが出演することが17日、明らかになった。

映画『東京難民』に出演する中村蒼(中央)、大塚千弘(左上)、青柳翔(右上)、山本美月(左下)、金子ノブアキ

同作は、作家・福澤徹三の同名小説を原作に、『半落ち』(2004年)、『出口のない海』(2006年)などで知られる佐々部清監督がメガホンを取った。大都会・東京に渦巻く暗い現実に直面しながらも懸命に生きる若者たちにスポットをあて、バイオレンスや際どいエロスにも果敢に挑戦しながら、現代の抱える病巣を真正面から描き出した。同作について佐々部監督は、「アベノミクスに踊る日本国だけど、現実の日本はこの映画の世界かもしれない」とコメントを寄せている。

主演の中村が演じるのは、大学からの除籍をきっかけに、ネットカフェ難民からホスト、そしてホームレスにまで転落する時枝修。貧困と孤独の闇に引き込まれていくその役柄は、彼を精神的に追い込んだようだが、「学生、ネットカフェ難民、ホストなど色んなことができたのでやりごたえはありました」と胸を張る。また、「僕がいつそうなってもおかしくないし、人ごとには思えませんでした」と振り返り、「良いことばかりじゃなくこういう人たちもいるんだということを皆さんに知ってほしいです」と作品に込めた思いを伝えた。

ホストとなった修に貢ぎ、次第に自らも転落していく看護師・北条茜を演じたのは大塚千弘。「私の芝居観念も女優人生も全てが変わりました」と彼女にとっては、新境地の役となった。また、先輩ホスト・順矢には劇団EXILEの青柳翔。そのホストクラブ「ララ」の常連客・瑠衣を、山本美月が演じた。山本は「今まで演じて来た役とは全く違う人生を歩んで来た役だったので、この役を演じる事ができて本当に勉強になりました」と語り、「私とは真逆の存在だからこそ演じていてすごく楽しかったです」と充実した撮影を振り返っていた。

そのほかにも、中尾明慶、金子ノブアキ、井上順といった豪華俳優陣が脇を固め、現代社会の底辺で、ささやかに、そして静かにきらめく若者たちの濃密なドラマを繰り広げた。

(C)2013『東京難民』製作委員会