ルネサス エレクトロニクスは4月15日、ミッドレンジマイコン「RX」ファミリにおける超低消費電力版として、USBなどの豊富な通信機能を搭載した「RX111」グループ31品種を発表した。

近年、スマート社会の拡大と共に、家庭用健康機器、センサ/探知器、スマートメータ、産業用アプリケーション、ビルオートメーションなどが急速に拡大している。また、これらの機器では高性能、高機能、小型化が進んでおり、搭載されるマイコンには高性能かつ、低消費、小スペースが求められている。一方で、同一CPUコアのマイコンによる下位から上位までの幅広い製品展開という根強いニーズもある。

同グループは、通常動作時での電流が100μA/MHz、スタンバイモードでは350nAと低消費電力で動作が可能であり、スタンバイから通常動作へは高速(4.8μs)で復帰できる。このため、携帯機器など、頻繁にスタンバイモードを使用する機器に適していると同社では説明する。

また、32MHzで動作し、1MHz当たり3.08CoreMark、1mA当たり14.9CoreMarkの処理能力を持つ。これにより、通信ビットレートの為に動作周波数を変更できなかったシステムでも、動作周波数を変更することなく、処理速度の向上が可能となる。

さらに、パソコンなどの接続で一般的なUSB通信にて、ホスト機能を使用したUSBメモリの制御や、バッテリーチャージャー機能を使用した携帯機器への充電制御としても使用可能。また、OTG(USB On-The-Go)機能を備えているため、一時的にホスト機能として使用することもできる。加えて、USBの各種サンプルドライバ(マスストレージクラス、コミュニケーションクラス、HIDクラス)やUSBを使用した高速充電機能の応用、メモリカードなどの各種ミドルウェア、同社製マイコンを実装した評価ボードとマイコンの評価や初期導入に必要な開発環境がセットになったRenesas Starter Kit(RSK)を用意している。

同グループはRXファミリとして、互換性のある命令セット、周辺機能、安全機能を内蔵しており、CPUコアアーキテクチャが同一の「RX600」シリーズや「RX200」シリーズと互換性があるため、高性能なマイコンへの移行が容易であり、RXファミリの豊富なソフトウェアが使用できる。また、パッケージのラインナップは36~64ピン、内蔵フラッシュメモリが16~128KBを取り揃えているため、小スペースの電池駆動の機器から、高度なデータ処理性能が必要とされるアプリケーションまで、多種多様な用途に対応できる幅広いラインナップを揃えている。

なお、サンプル価格は280円。2013年7月より順次サンプル出荷を開始する。2013年9月から量産を開始し、2014年4月には100万個を生産する計画という。

超低消費電力を実現した「RX100」シリーズ第1弾製品「RX111」グループ