山梨県民が楽しみにしている「無尽」の習慣って一体何?

OFFICE-SANGA  [2013/04/14]

「無尽」は「無尽講(むじんこう)」「頼母子講(たのもしこう)」とも言う

山梨県には「無尽(むじん)」という独特の習慣がある。無尽とは月1回程度、特定のメンバーで集まって食事や飲み会をすること。そして、その時に食事代とは別にお金を出し合って積み立て、メンバーが順番に使ったり、グループの目的のために役立てたりすることをいう。なぜこのような独特のシステムが生まれたのだろうか。

助け合いの精神から生まれた独特の習慣

「無尽」は、鎌倉時代に始まった庶民同士の融資制度が始まり。冠婚葬祭などまとまったお金が必要になった時、お互いに助け合うために作られたという。それなりの頻度で集まり、しかもお金が絡んでくるとなると、メンバー同士の信頼が必要になる。その点、山梨県は昔から住民同士のつながりが強く、このような独特の習慣が発展したようだ。

その後、金融サービスが発達して融資し合う必要はなくなったが、既に生活に根づいていた仲間で集まるという習慣は残った。現在では積み立てをする人たちもいるが、必ずしもお金を出し合うわけではなく、特定のメンバーでの定期的な飲み会を無尽と呼んでいる人も多いという。

人間関係が希薄な時代の貴重なつながり

おいしい料理とお酒を前に笑顔があふれる

そんな無尽、実際にはどんな形で行われているのか、地元の人に聞いてみた。まず参加している無尽の数は平均1~3つ。付き合いが多い人は10、20も参加する人もいる。しかし、最近は人間関係が希薄になり、どの無尽にも属していないという人も増えているという。

メンバーは学生時代からの友人や職場の友人、趣味の仲間など気の合う人同士というのが基本。男性同士、女性同士、同年代が多いと思いきや、「草野球の無尽」「カメラ仲間の無尽」など趣味の集まりになると、幅広い世代が集まることもあるそうだ。

無尽を行う場所は、居酒屋やレストランが多いという。しかし、休みの日などはキャンプに行ったりバーベキューをしたり、食事をしたあとスーパー銭湯でリラックスしたりと、様々な形で行われている。場所決めは、持ち回りの幹事が行うことが多い。

女性の無尽は、いわゆる女子会的な雰囲気。食べたり飲んだりが好きなメンバーだと毎回場所にもこだわり、話題のおいしい店で行うことが多いとか。ちなみに、無尽は夜に行われることが多いが、家庭を持っていたりお子さんがいたりする女性でも、「無尽だけは特別」と家族が快く送り出してくれるそうだ。

積立金はみんなで有意義に使う

融資制度の名残で、積み立てをするグループも

積立金の場合は、その日集まったお金を各メンバーがローテーションで持って帰る形が主流。例えば、メンバーが5人いて1人1万円払うとすると、合計5万円を1人が持って帰るということになる。使い道はそれぞれに任されているので、貯金をする人もいれば欲しかった物を買う人もいる。

一方、目的を決めて積み立てをするグループもある。例えば、旅行好きの集まりならば、目標金額がたまったらそのお金を使ってみんなで旅行するという具合。あるいは、毎回食事代を少し多めに徴収して積み立てていき、忘年会でパーッと使うというケースもあるという。いずれにしても、細かくは仲間同士で話し合って決めるそうだ。

山梨県の飲食店は「無尽承ります」

山梨県の居酒屋やレストランの看板やホームページには、他の地域ではあまり見られない「無尽承ります」という文言が記載されている。それだけ無尽が根づいている証拠と言えるだろう。次は、そんな「無尽承ります」を掲げている山梨県甲府市・笛吹市の居酒屋「北海屋」に話を聞いてみた。

「北海屋」のホームページには「無尽承ります」の文字が明記されている

北海屋では、月に20件ほどの無尽が行われるそうだ。いろいろなグループが訪れるというよりも、無尽の常連さんがいて、例えば「毎月第3土曜日は、北海屋で無尽」と決めて同じグループが訪れることが多いという。そのため常連さんから予約が入ると、お店の方は「また無尽だな」と分かるそうだ。

人数は5~10人でそれほど多くないので、メニューはお店に来てから決めるグループがほとんどだという。北海屋は、すしや刺身など新鮮な海の幸を中心に、バラエティに富んだメニューを提供している。それぞれ好きなものを注文して、気の置けない仲間とのひとときを楽しむそうだ。

ちなみに北海屋スパランド店は、宿泊できるスパ施設が併設されているため、泊まりで無尽を行うグループもいるという。これなら飲んでも安心、心ゆくまで楽しめるということで、こちらの店を利用する人も多いそうだ。

無尽があるからがんばれる! 生活の張り合いに

山梨県の珍しい習慣「無尽」。単なる飲み会とも言えるが、無尽によって楽しみが増えて充実した生活を送っているという人が多いそうだ。定期的に気の合う友人に会い、おいしい物を食べて飲む。そして次の無尽の約束をする。何げないことのようだが、こうやって仲間とつながっていることで毎日頑張れるのだという。

また、人とのつながりが薄れがちな高齢者も、無尽に参加することによって生活に張り合いが出るという人も多い。たくさんの無尽に参加している人ほど長生きするという話もあり、生きがいにつながっているようだ。

基本的には特定のメンバーで行われるため、県外の人はなかなか参加できないが、知り合いなどがいれば一度参加させてもらってみるといい。もしくは、居酒屋などで無尽らしき会が行われていたら、その様子を眺めてみたりするのも面白いかもしれない。

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