富士フイルムは4月9日、高い抗酸化力を有することで知られる成分「アスタキサンチン」と「亜鉛」をマウスに摂取させる試験を行った結果、両成分を同時に摂取することで、高い睡眠改善効果が得られることを確認したと発表した。

同成果は同社と大阪バイオサイエンス研究所の裏出良博氏らによるもので、詳細は6月27日から開催される「第38回日本睡眠学会定期学術集会」にて発表される予定。

睡眠は、深さと特徴により、身体は休息しているのに脳が活動している睡眠を「レム睡眠」、脳の活動も低下している睡眠状態の「ノンレム睡眠」に分類でき、ヒトは眠り始めると、まず深いノンレム睡眠に入り、その後、レム睡眠とノンレム睡眠を、成人では合わせて平均90分のサイクルで繰り返していることが知られている。良く言われる"良い睡眠"とは、寝付くまでの入眠時間が短く、また眠り始めてから最初の約3時間にノンレム睡眠の占める割合が多く、さらに夜中に起きる(覚醒する)ことがない睡眠のことで、良い睡眠をとることにより、寝起きがスッキリするといった効果を得ることができる。

これまで両者は、両成分を含む食品の人への体感試験を行った際、良く眠れる、寝覚めが良いという体感を得てきており、そうした体感からそれを実際に確かめるべく今回、特定の成分をマウスに摂取させ、「行動量試験」を実施し、非摂取群との比較を行った。

具体的には、マウスの体重1gあたり「アスタキサンチン46mgと亜鉛73mg」、「亜鉛単成分で73mg」「水(比較対象)」の3種類を、7匹ずつのマウスの群に分け、それぞれに経口投与し、その後、脳波計により睡眠中のマウスの脳波測定を行ったという。

その脳波計での測定データをもとに、入眠から4時間におけるノンレム睡眠時間の長さを計測したところ、マウスに亜鉛を摂取させると、比較対象である水を摂取させた場合と比べて、ノンレム睡眠時間が約2倍になることが判明したほか、亜鉛とアスタキサンチンを同時に摂取させた場合では、亜鉛単成分よりもノンレム睡眠時間が長くなり、水を摂取した場合と比べて3倍以上、亜鉛単成分に対しても約2倍となり、深い睡眠が得られることが判明したという。

この結果に対し、研究グループでは、アスタキサンチンと亜鉛の摂取により、視床下部や脳幹などの脳内の睡眠をつかさどる領域に何らかの作用をしているのではないかと推察している。

ちなみに、アスタキサンチンは自然界に広く分布している天然由来の抗酸化成分。サケやエビ、カニなどに多く含まれるカロテノイド(色素)の一種で、トマトのリコピンや人参のβ‐カロテンなどのカロテノイドが活性酸素を消去する抗酸化作用をもつ成分として知られているが、アスタキサンチンは、これらよりも強い抗酸化作用をもつ成分として、注目されるようになってきており、機能性食品の原材料としては、ヘマトコッカス藻あるいはオキアミを原料としたアスタキサンチンが使われているという。また、亜鉛は牡蠣、豚レバーなどに多く含まれる成分で、体のさまざまな働きに関与する必須ミネラル16種の1つであるほか、体の中にある酵素の構成成分で、活性酸素を除去するSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)と呼ばれる活性酸素除去酵素の構成成分でもあり、抗酸化作用にも関わりがあることが知られている。

なお同社では、今回の試験結果から、従来のアスタキサンチンと亜鉛が持つ抗酸化作用とは異なる、効果睡眠改善効果という新たな効果が示されたとしており、今後、アスタキサンチンと亜鉛による睡眠改善メカニズムのさらなる解析を進めるとともに、ヒトでの睡眠改善効果検証試験を実施し、アスタキサンチンと亜鉛の新たな応用を検討していく方針としている。

アスタキサンチンと亜鉛の摂取によるマウスでの睡眠改善効果の比較グラフ