JR東日本と小田急電鉄は27日、JR常磐緩行線、千代田線、小田急線の3線での相互直通運転に向けた準備を開始すると発表した。これを受けて、JR東日本と小田急の地下鉄乗入れ車両も、「3線直通」が可能な車両に改造するとのこと。

常磐緩行線用のE233系

小田急電鉄4000形

東京メトロ千代田線(代々木上原~綾瀬間)から常磐緩行線および小田急線への直通運転に関して、東京メトロが所有する6000系や16000系などの車両は3線とも走行可能。だが、千代田線へ乗り入れるJR東日本E233系は小田急線での走行に対応しておらず、小田急電鉄の千代田線乗入れ車両4000形も常磐緩行線での走行に対応していない。

今回の発表によれば、各社車両による「3線直通」の運行形態を実現させるべく、JR東日本E233系と小田急4000形に保安装置を搭載するなどの車両改造を行うという。相互直通運転に向けた車両の準備期間は、今年4月より3年程度とする。相互直通運転の開始時期や運転計画など、詳細については「改めてお知らせいたします」としている。

千代田線から小田急線への直通運転は、現行ダイヤでは多摩急行(唐木田駅発着)が中心で、他に準急(本厚木駅発着、おもに朝の時間帯に運行)やロマンスカーMSEによる特急も運行されるが、日中の直通列車の運転本数は1時間あたり2本程度にすぎない。一方、千代田線綾瀬方面は日中の時間帯、約半数が綾瀬駅止まり。松戸・柏方面へ向かうのに綾瀬行に乗車してしまった場合、綾瀬駅などで常磐緩行線への直通列車を待つか、北千住駅で地下ホームから地上ホームへ移動し、常磐線快速に乗り換える必要があった。

JR東日本E233系と小田急4000形の改造が進み、「3線直通」が本格化すれば、常磐線との不便な乗換えによる利用者の負担も軽減される可能性がある。小田急線では代々木上原~梅ヶ丘間の複々線化工事が進んでおり、複々線化の完成と「3線直通」の実現で、小田急線沿線から都心方面へのさらなる利便性向上も期待できる。