これが「富山ブラックサイダー」 。ラベルもブラックで渋いイメージ

富山のご当地ラーメンといえば「富山ブラック」が有名だが、現在、その富山ブラックをイメージした「富山ブラックサイダー」なるものが登場して注目を集めている。ラーメン味のサイダーって一体? その誕生秘話や地元での活気、そしてなにより、気になる味について紹介しよう。

「富山ブラックラーメン」のやみつき感を再現

「富山ブラックラーメン」は戦後まもなく、汗をよくかく肉体労働者のために塩味の濃いラーメンが作られたのが始まり。しょう油ベースの真っ黒なスープと大量のコショウが特徴で、一度食べたらやみつきになる塩辛い味が魅力だ。ラーメン好きを中心に注目を集め、今では全国区の人気を獲得。富山ブラックを食べるために富山を訪れる人も少なくない。

そんな富山ブラックラーメンをイメージして作ったのが「富山ブラックサイダー」だ。富山ブラックラーメンの最大の特徴であるしょう油の風味と、コショウのスパイシーさをプラスして、これまでになかった新しいタイプのサイダーを作りあげた。

一見コーラのようだが、飲んでみたところ、しょう油とコショウの風味がのどの奥にホワンと広がる。甘すぎずキリリとした辛さも感じられる大人の味。スッキリしているのでどんどん飲みたくなる。「これがやみつき感か」と納得だ。

地元では「飲むのに勇気がいったけれど、一口飲んでみるとさわやかでおいしかった」「ラーメン風味のサイダーって最初はイメージがつかなかったが、飲んでみたら奥深い味に感動した」など、ユニークなコンセプトと味が受けているそうだ。とはいえもちろん、このサイダーでラーメンを作ろうとするのはちょっと難しいと思われる。

名物「富山ブラックラーメン」。真っ黒なスープと独特の風味がくせになる

2012年4月の発売当初は、富山ブラックラーメンが好きな男性を中心に人気を集めたが、独特のおいしさが話題を呼び、今では富山の新しいお土産として注目されている。富山県内のサービスエリアや道の駅を中心に1本200円で発売されている。製造元の「トンボ飲料」のホームページから、ケース買いすることもできる。

お酒で割った大人の飲み方も提案

この「富山ブラックサイダー」、そのままでもおいしいのだが、新しい飲み方も提案されている。それは、サイダーをお酒で割る「黒割」だ。

コショウのきいた大人の味はお酒にもピッタリ。例えば、焼酎1、サイダー3の割合で混ぜれば「富山ブラックサワー」のできあがり。焼酎をウィスキーにすれば「富山ブラックハイボール」、ビールにすれば「富山ブラックビアー」も。甘すぎない富山ブラックサイダーだからこその楽しみ方だ。

焼酎で割った「富山ブラックサワー」

ビールで割った「富山ブラックビアー」

また、富山県内の居酒屋やラーメン店の一部でも「富山ブラックサイダー」と「黒割」を楽しむことができる。地元の人はもちろん、観光や出張で富山に来た記念に飲む人が多いそうだ。

ちなみにトンボ飲料は、明治時代に創業した富山の老舗ラムネメーカー。2011年から富山にちなんだ地サイダーを販売しており、まず第1弾として1930年代から40年間にわたって愛された「ラボンサイダー」を発売。そして第2弾として発売したのが「富山ブラックサイダー」だ。

富山のメーカーが富山の名物ラーメンにヒントを得て作りあげた、富山ならではのサイダー。「富山ブラックラーメン風味」と聞くと、少し躊躇(ちゅうちょ)してしまうかもしれないが、飲んでみないとそのおいしさは分からない。興味のある人は挑戦してみるべし。そして、そのやみつき具合を是非体感してみてほしい。