東芝は、産業機器・車載機器向けに需要拡大が見込まれるパワー半導体分野において、SiCを採用した製品を2013年3月末から姫路半導体工場で量産を開始すると発表した。

SiCを採用したパワー半導体は従来のSi採用の製品に比べて高電圧・大電流でも安定的に動作し、動作時に電力が熱として失われる電力損失を削減できるため、高効率化、小型化が求められる通信機器、サーバ、インバータなどの産業機器、鉄道・車載機器用途での高いニーズが見込めると同社では説明しており、第1弾としては、電流の逆流を防ぐ整流素子であるショットキバリアダイオード「TRS12E65C」の量産開始が予定されている。サーバ用電源や太陽光発電用パワーコンディショナーなどに適した製品で、従来のSiダイオードに比べ電源用途で素子の損失として50%以上低減できるという。

なお同製品は月産100万個体制で量産が行われる計画で、東芝ではSiCを採用したパワー半導体市場は2020年に現在の約10倍に成長するとの予測を示していることから、今後、市場ニーズにマッチした新製品をラインアップ化していくことで事業強化を図り、2020年にはシェア30%の獲得を目指すとしている。

東芝のSiCショットキバリアダイオード「TRS12E65C」