美しい気泡や身体の模様が見て取れる

東京近郊にはたくさんの水族館があります。今回は、その中で井の頭自然文化園水生物園(分園)を紹介します。子供の頃夢中で見つめたような懐かしい生きものたちや、今はあまり見かけなくなった生き物たちの姿がそこにはありました。

水中に巣を作る珍しいクモがいる!

糸をドーム型にして、水中に巣を作るミズグモ。水中で暮らすのは、世界でもこのクモだけだそうです。体長は1センチ前後で、黒っぽい色をしています。

糸を重ねてドーム状にし、その中に水上から運んだ空気ためてそこで暮らします。後ろ足と腹部にある毛の間に空気の層を抱えて運搬することが可能。水中に作った部屋の中に、昆虫などを持ち込み食べるのだそうです。

不思議な生態も間近に見られましたが、大きな気泡の隣にたたずむ姿がとても神秘的でした。

カイツブリの捕食シーンを見よう!

つぶらな瞳のカイツブリ

井の頭自然文化園の分園である水生物園には、水辺や水中で暮らす鳥類や魚類などの生き物が暮らしています。特に園内の水生物館は懐かしい生き物たちでいっぱい。ちょっとした夏休みの自由研究気分で見て回ることができます。

足を櫂(かい)のように漕いで泳ぐ姿が間近に見られる

獲物を伺って潜ると、くちばしにくわえて水面へ上がってきた

水生物館を入ってすぐの水槽には、カイツブリという小さな鳥が暮らしています。おしりの後方に足がついているという、独特のフォルムを持ち、歩行は少々苦手。しかし、水中に潜ると獲物を目指して高速で移動します。

またもキャッチ成功!と思ったら取り損ねるハプニングも

約10分に一度捕食行動を取るため、園内をまわりつつ何度も見ることができます。時には、せっかく捕まえた獲物を落としてしまう様子も見られました。もちろんすぐに捕まえなおして一安心。いろいろな様子を見ることができるのが魅力です。

コイやクサガメが泳ぐ川の自然な姿がそこに

同じ水槽では、カイツブリのメスが卵をあたためている様子が見られるほか、自由に泳ぎまわるコイやクサガメたちの姿がありました。

童心に帰って自然観察

つぶらな瞳の愛らしい姿のオシドリたち

水生物館の外には主に鳥類たちが暮らしています。かつては井の頭の池にも飛来していたオシドリ。秋の換羽を経て、この時期はとても色鮮やかな姿に。たくさんの個体がいるのでにぎやかで、愛らしい姿をいつまでも眺めていられます。

子供ごころに返って水槽を観察

他にも童心に返って眺められる生き物たちがいっぱいです。大人にも子供にも楽しい水の生き物たちを、どうぞお楽しみください。

園内は井の頭の池にも面していて自然の野鳥の観察も

■スポット情報
名称:井の頭自然文化園:
場所:東京都武蔵野市御殿山1-17-6
営業時間:9:30-17:00。入場は16:00まで。月曜休。祝日の場合翌日休。
入園料:一般個人400円、中学生150円、65歳以上200円。




<著者プロフィール>
一色千里
ハンドメイドや動物、街歩きや旅をテーマに撮影と執筆を手がける。著書に「東京手づくり市マップ」「東京ねこ街案内」(角川グループパブリッシング刊)などがある。新著「カワイイ動物カフェへようこそ!」が日本工業新聞社より2012年11月2日に発売!

猫情報を配信するちまたの猫暮らしを運営するほか、物語で街と人をつなぐ「本のカケラ」など街イベントも積極的に企画。ホームページツイッターも運営中。