内閣府は18日、マグニチュード(M)9クラスの南海トラフ巨大地震が発生した場合の被害想定(第二次報告)を発表した。それによると、全国の被害総額は最大で約220兆円3,000億円に上る恐れがあることがわかった。

被災地における建物などの資産やインフラ損壊の直接的な被害総額は約169兆5,000億円。これは東日本大震災の被害総額の約10倍に当たる。内訳は、民間部門が約148兆4,000億円、準公共部門(電気・ガス・通信・鉄道)が約9,000億円、公共部門が約20兆2,000億円。

企業が被災するなどして、生産・サービスが低下したことによる全国の経済被害は約44兆7,000億円、道路、鉄道の寸断による全国の経済被害は約6兆1,000億円と試算している。

被害額(出典:内閣府Webサイト)

なお、防災・減災対策を推進することで、資産等の被害額は約80兆円に半減するほか、津波避難の迅速化などを行うことにより、生産・サービス低下による被害額は約32兆円に減少すると推計している。

ライフラインについて見ると、地震発生直後には東海、近畿、山陽、四国、九州などの各地方で約2,710万軒が停電し、1週間後でも88万軒で停電が続くと予測。断水の影響は、地震発生直後で約3,440万人、1カ月後で約460万人に上る。都市ガスについては、地震発生直後で約180万戸が停止すると見られる。

避難者は断水の影響を受けて1週間後で約950万人、避難所への避難者は1週間後で約500万人に上ると予測。また、平日の12時に地震が発生し、公共交通機関が全域的に停止した場合に一時的に外出先にとどまる人は、中京都市圏で約400万人、京阪神都市圏で約660万人。当日中に帰宅が困難となる人(帰宅困難者)は、中京都市圏で約100万人~約110万人、京阪神都市圏で約220万人~約270万人と推計している。

地震発生後3日間における食料の不足量は約3,200万食、飲料水の不足量は約4,800万リットル、毛布の不足数は約520万枚と予測。被災都府県で対応が難しくなる患者数は、入院が約15万人、外来が約14万人と想定している。

固定電話・携帯電話は、輻輳により1割程度しか通話できなくなる(90%規制)。インターネットへの接続は、固定電話回線の被災などにより利用できないエリアが発生する見込み。

路面損傷や沈下などの道路施設被害は約4万~4万1,000カ所、線路変状などの鉄道施設被害は約1万9,000カ所、港湾施設被害は約5,000カ所と想定。また、中部国際空港・関西国際空港・高知空港・大分空港・宮崎空港で津波浸水が発生し、このうち、高知空港と宮崎空港では空港の半分以上が浸水すると予想している。

なお、いずれの数値も被害が最大となるケースのものを記している。