カラオケにも著作権料が発生します

音楽のダウンロードが一般的になったこともあり、著作権が話題になっています。カラオケは歌うたびにその歌を作った人に著作権料が入っているのですが、膨大な数ですので著作権管理団体が任務を代行しています。

ほかにも、著作権料を払わなければならないケースはあるようですが、どのような場合が「営利目的」とみなされるのでしょうか。一般社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC)・広報部長の盆子原久長さんにお話をうかがいました。

楽曲ができた瞬間に著作権も生まれる

――著作権とは何ですか? すべての楽曲にあるのでしょうか?

「著作権は楽曲を創作した瞬間に自動的に発生する権利です。特にどこかに届け出る必要はありません。日本では著作者の死後50年を経過するまで著作権が保護されています。

また、著作権と"ひとこと"で言われることが多いですが、正式には、人に譲渡できない『著作者人格権』と、譲渡することができる『著作権(財産権)』の総称が著作権となります。更に『著作権(財産権)』は、複製権、上演権・演奏権、公衆送信権、頒布権など、全部で11種類あるんですよ」

――何だかややこしいですね。JASRACでは何をしてくれるのですか?

「JASRACでは、権利が譲渡できる『著作権(財産権)』を担当していることになります。具体的には、作詞家や作曲家から預かった楽曲を使いたいユーザーに許可するかわりに、著作権料を頂き、そのお金を作詞家や作曲家へ送金しています」

営利目的の団体は著作権を払う必要がある

――もし、私たちが会社のイベントやお店のBGMで楽曲を使用する場合、著作権料を払う必要があるのですか?

「はい。会社もお店も、営利目的として活動している団体なので著作権料が発生します。また、入場料が無料のイベントの場合も、営利を目的とした会社が行えば、著作権料が発生するんです。著作権料ですが、小さな店だと年間6,000円をお支払いいただければCDの種類を問わずCDをかけられます」

――では、ステージで楽曲を生演奏する場合はどうなりますか?

「イベントやお店で生演奏するときには、お支払いいただく著作権料がBGMと異なります。また、飲食店の生演奏か、そうでない場所での生演奏かによってお支払いいただく著作権料が分かれています」

――YouTubeやニコニコ動画の著作権はどうなっているのですか?

「広告収入を得ているYouTubeやニコニコ動画を運営している会社がJASRACの許諾を得て著作権料を負担しているので、自分で演奏する場合は自由にアップできます。けれども、自分がニコニコ生放送などで話しているときに、CDを使う場合は、原則としてレコード会社の許可を得てからでないと使うことができませんので注意してください」

カラオケボックスで1回でも歌うと、作曲家・作詞家にお金が渡される

――許可を取らずに無断で使用すると、罰則があったりするのですか?

「著作権法に違反すると、個人の場合は懲役10年以下、罰金1000万円以下、法人の場合は3億円以下の罰金があります。また、当然ながら民事上の責任も発生するでしょう」

――何だか怖いですね……。

「ただ、罰則や裁判になるのは、手続きの案内を何度もしているにもかかわらず、応じていただけないなど、ごく一部のケースです。また、JASRACの立ち位置は、『作曲家や作詞家』と『楽曲を使用するユーザー』のちょうど真ん中です。よほど悪質でない限り、私たちがユーザーを告訴することはありません。

ですから、楽曲を使用する際などに気になることがあれば、気軽にJASRACまで相談してほしいです。電話でも相談を受け付けていますし、当協会ウェブ上には、必要な著作権使用料を簡単に計算できるシミュレーションも準備しています」

――不明確なときには相談するのがよさそうですね。話は変わりますが、カラオケボックスで歌うと、歌った回数だけ作詞家や作曲家にお金が届くって聞いたのですが、本当ですか?

「はい、本当です。JASRACがお金を預かった後、それぞれの権利者に送金しているんですよ」

応援したいアーティストがいたら、カラオケで歌うようにするのもいいかもしれませんね。盆子原さん、どうもありがとうございました!

取材協力:一般社団法人日本音楽著作権協会 JASRAC

(OFFICE-SANGA 臼村さおり)