町を疾走するゴールドカラーの金ピカバス。これが話題の「メーグル」だ

東京にはツアー用の観光バス「はとバス」があるが、名古屋には予約なしで乗りたい時に乗れる観光ルートバス「メーグル」がある。「はとバス」が鮮やかなイエローであるのに対して、名古屋の「メ―グル」はなんと金シャチばりのゴールド! とにかくインパクト満点の「メ―グル」の旅をご紹介しよう。

ルートは名古屋駅を始点に、ノリタケの森や名古屋城、徳川園、名古屋テレビ塔などの観光スポットを通り、ぐるっと名古屋駅に舞い戻るというもの。フルで乗れば所要時間は1時間半ほどだ。1乗車200円だが、1日乗り放題の1DAYチケット(500円)を買えば、何度でも途中下車しながら観光できる。

あなたの好みはどのエリア?

“ものづくり愛知”を巡るなら、産業遺業エリア

このエリアには、ものづくりの街・ナゴヤを象徴する「トヨタテクノミュージアム 産業技術記念館」や「ノリタケの森」がある。“ものづくり愛知”の原点が見られる場所といっていいだろう。

「トヨタテクノミュージアム 産業技術記念館」では、自動車産業における技術の変遷などを分かりやすく学ぶことができる。本物の機械を間近に見ながら、オペレーターの実演を楽しめるミュージアムだ。

陶磁器メーカー「ノリタケ」が運営する「ノリタケの森」は、公園やレストラン、ミュージアムなどを有した複合施設。広大な敷地内で食事やショッピングをのんびりと楽しむことができる。敷地面積は4万5,000平方メートル。入園無料なので、散歩などに利用する人も多い。ここでオススメなのが、カフェルームの「スクエアカフェ」。天気のいい日にはテラスでお茶ができ、眺めは最高だ。

都会のオアシス「ノリタケの森」。文化の香り豊かなエリアでもある

また、このエリアには有名な「モーニング喫茶 リヨン」もある。こちらは、名古屋名物「モーニングサービス」が一日中食べられる喫茶店だ。「夕方に食べるなら、モーニングじゃないじゃんっ」というヤボなことは言いっこなし! オーナーの川合和行さんは、「同じ値段なのに、食べられる時間と食べられない時間があるのはおかしくないか?」という正論のもと、このコンセプトで営業しているという。

有名なモーニング喫茶「リヨン」では、終日モーニングが食べられる

名古屋の中心地、伏見・栄エリアで食べ歩き

こちらのエリアは、ランドマークのテレビ塔をはじめ、デパートや路面店がひしめく名古屋の中心地。松坂屋、三越、丸栄、パルコといった百貨店やファッションビルも林立している。

また、ひつまぶしにきしめん、みそカツ、あんかけパスタなど名古屋を代表する食の宝庫でもある。ということで、こちらのエリアは食にフォーカスしてご紹介しよう。まずは、「みそかつ 矢場とん 栄松坂屋店」。

みそカツの代名詞存在の「矢場とん」。みそダレはサラサラでくどくなく最後までおいしく食べられる。南九州産の豚肉は、適度な脂身でジューシー。パン粉は細かめの生パン粉と乾燥パン粉のブレンドで、ラードを混ぜた植物性サラダ油でさっくりと揚げている。

矢場とんのみそかつは全国区の知名度。みそダレの上品な味わいをご堪能あれ

手軽に食べたいなら「みそかつ丼」がオススメだ。たっぷりのみそダレがかかったトンカツは、衣がしっとり。テーブルにはゴマやからし、一味唐辛子などが置いてあり、「お好みで風味をきかせてください」とのこと。

まずはひと口プレーンな状態で。う~ん、みそダレの味わいがなんとも上品だ。ご飯との相性もバッチリ。しかし何口も食べていると、さすがに口が甘ったるくなってくる。そこで登場するのが、先に挙げた薬味類だ。

ゴマをかけるとコクと風味が増し、適量の辛子をちょんと付ければ、甘さと辛さの極上なコラボレーションが誕生する。ちなみに店内のイスは、シンボルキャラクターのブタ横綱の顔が繰り抜いてある。芸が細かいのだ。

続けて、「いば昇」を紹介したい。ひつまぶしを語る上で外せない、うなぎの名店がココ。ひつまぶしは大正時代に名古屋で生まれたが、その発祥には諸説ある。この店も、発祥説のひとつとしてカウントされている。

炭焼きでじっくり焼いたうなぎは関西風の直焼きで、パリっとした香ばしさが食欲をそそる。ちなみにひつまぶしのお茶漬けは、だし茶ではなく緑茶で提供される。これもこだわりだ。

「いば昇」のひつまぶし。ひつまぶし発祥説もある有名店だ

3軒目は、「宮きしめん 竹三郎」。超軟水で打った上質な小麦の麺を、名古屋ならではの甘めでシッカリした味のつゆでいただくことができる。きしめんの最大の魅力ともいえる、滑らかでツルツルっとしたのど越しをご堪能あれ。ちなみにこの店はラシック(名古屋三越栄店専門店館)の中にあるので、そのままショッピングを楽しむのもいいだろう。

歴史と文化のエリアvol.1、名城を眺めてティータイム

名古屋城エリアにはリゾートホテルや高級レストランも建ち並ぶ

こちらのエリアは、尾張国ならびに名古屋城下の繁栄を今につたえるエリアだ。現在でも、高級住宅街が点在しているのも大きな特徴。周遊の目玉は、なんといっても「尾張名古屋は城でもつ」とまで言わしめた名古屋城。天守閣のシャチホコは、永遠に名古屋のシンボルだ。

午後の紅茶の時間には婦人たちが集まる「ティーラウンジ ウィンザー」

この天下の名城を眺めつつ、おしゃれにティータイムといこう。「ティーラウンジ ウィンザー」には、休日ともなるとセレブな雰囲気の婦人が集う。なんせ、名古屋城を望むホテル・ウェスティン・ナゴヤキャッスルのティーラウンジゆえ、広々とした店内に並ぶテーブルやソファは大きくて重量感があるのだから。

オススメはオリジナルティーやハーブティー。静かな店内でゆっくりとティータイムを満喫すれば、ちょっとしたセレブ気分に浸ることができる。

歴史と文化のエリアvol.2、徳川文化とグルメを知る

風情満点の日本庭園「徳川園」は、意外と知られていない名古屋観光の穴場スポット。ここに足を踏み入れるや、四季折々の自然を愛(め)でる、日本人ならではの感性がよみがえってくるだろう。

また、園内の徳川美術館では、家康の遺品を中心に、家康九男以下代々の大名道具1万数千件を観賞することができる。国宝「源氏物語絵巻」をはじめ、国宝9件、重要文化財59件など一流の文物がそろっているので、見ごたえ抜群だ。

徳川園内にはその他、美術館、カフェ、レストランもある

徳川園を堪能した後は、名古屋ならではのあんかけパスタを食べようか。それとも、カフェでしっとりと午後のひとときを過ごそうか。ということでまずは、徳川園の中にある瀟洒な日本庭園カフェ&バー「蘇山荘」へ。

建物は昭和12年(1937)に開催された、汎太平洋博覧会の迎賓館を移築した歴史的建造物。レトロモダンなたたずまいの中、落ち着いたカフェタイムを過ごせる。ドリンクやケーキの他、シェフ特製のハヤシライスも楽しめる。

ソファ+心地よい音楽でリラックスできる蘇山荘

続けてご紹介するのは、名古屋名物あんかけパスタを楽しめる店の中から「からめ亭 徳川店」を。「からめ亭」グループのウリは、辛くて濃厚なソース。普通、あんかけパスタのソースは赤いのだけれど、ここのソースは真っ黒! 見た目はやや毒々しいのだが、一度口にしてみると、辛いもの好きはヤミツキになること間違いなし。

野菜と肉のエキスが凝縮されている上に、スパイシーで複雑な味なのだ。麺はあんかけパスタ伝統の2.2ミリ。この極太麺が、個性派の強いソースをがしっと受け止める。フォークで巻き上げにくいけど、それはご愛嬌(あいきょう)で(笑)。

他のあんかけパスタ専門店と同じく、こちらの店もトッピングやボリュームは自由自在。オーダーに迷ったら、店名を冠した看板メニューの「からめ亭スパ」をオーダーしよう。トッピングされた玉子のマイルドさが、スパイシーなソースと相まってやさしさを醸し出す。文句なしに美味い!

あんかけパスタは名古屋名物のひとつ。見かけだけでなく味も個性的な一品だ

最後にご紹介させていただくのは、「バルボアカフェ」。70年代アメリカをイメージした、かわいくてウッディな装いのカフェだ。ラテやカプチーノ系のメニューが豊富で、カップはおしゃれ。コーヒーが苦手な人は紅茶をどうぞ。アールグレイ、ダージリン、ブレンドティー3種類から茶葉を選べるのが◎! ボリューム満点なサンドイッチもおすすめだ。

70年代をイメージした「バルボアカフェ」は紅茶メニューも揃っている

この他にも、ユニークな雑貨店やギャラリーカフェ、ちょっとリッチなレストランなど、あらゆる世代が楽しめるスポットが「メーグル」ルート圏内には充実しているので、ぜひゆっくりと巡ってみてほしい。すべてのエリアを満喫し終わったら、帰りの新幹線の時間まで「名古屋駅エリア」でお土産選びを楽しもう。

ちなみに、名古屋駅に併設されている複合施設「JRセントラルタワーズ」は、「世界一背の高い駅ビル」としてギネス世界記録に認定されている。駅に向かう前に、その全貌を写真におさめられるスポットを探してみるのも楽しいかも!