日本コカ・コーラ、沖縄コカ・コーラボトリング、NPO法人どうぶつたちの病院 沖縄の研究グループは、2010年5月より協働プロジェクトとして進めてきた飲料自販機を活用したプロジェクト「絶滅危惧種 ヤンバルクイナ生態調査」の成果として、自然環境音からヤンバルクイナ保護のために必要な条件の抽出に成功したと発表した。

同プロジェクトでは、沖縄コカ・コーラが提供する清涼飲料の自動販売機にICレコーダーを設置し、1日24時間・730日以上にわたってヤンバルクイナの鳴き声・時期・鳴き方などが録音されたほか、沖縄工業高等専門学校の協力を得て、同校が開発した電子処理技術を用いて音データの中からヤンバルクイナの鳴き声だけを抽出し、その鳴き声データの調査・解析が行われた。

その結果、やんばるの森の環境音には、虫の鳴き声、風や草のこすれる音などの自然音がほとんど入らない空白の周波数帯があり、ヤンバルクイナはその空白の周波数帯の中で極めて特徴的な波形の鳴き声を出すことが判明したという。

これは、ヤンバルクイナが互いの姿が見えないやんばるの森の中で、鳴き声によるコミュニケーションを重要な手段として、遠方までコミュニケーションをとることが可能であることを示すものであり、それが同地域に限定された生息を裏付けるものであると推察されると研究グループでは説明している。

また、2007年と2010年には環境省がヤンバルクイナの交通事故の多発を受ける形で非常事態宣言を出し、防止策の検討が進められているものの、2012年1月1日から12月11日までの約1年の間に過去最多となる42件のロードキルが確認されていることもあり、どうぶつたちの病院 沖縄では今後、人工音がヤンバルクイナの生活に与える影響を研究していくことで、この空白の周波数帯を含む周辺環境音と車両走行音などがヤンバルクイナの生活とどのように関わっているのがが解明され、それによってロードキル防止などにつながることが期待されるようになると説明している。

なお、今回の研究で使用されたICレコーダー付自動販売機は、やんばる地域の1つである国頭村内に2カ所、大宜味村内に1カ所の計3カ所に設置されているという。

ヤンバルクイナ (出所:日本コカ・コーラWebサイト。写真撮影:NPO法人どうぶつたちの病院 沖縄)

ICレコーダー付自動販売機(左上の赤いのがレコーダー。中央上の黒い丸型が集音マイク)(出所:日本コカ・コーラWebサイト)