東芝は、スマートフォンのWCDMA/LTEなどの信号を送信する際に必要なCMOS電力増幅器の電力効率を改善する電源制御技術を開発したと発表した。送信電力レベルに応じて増幅器内の電源経路切換を行うことで、WCDMA/LTEなどの信号を送信する際の消費電力を半減し、連続通話時間の向上に寄与するという。

詳細は2月17日より米国サンフランシスコで開催されている「ISSCC 2013(International Solid-State Circuits Conference:国際固体素子回路会議)」にて発表された。

スマートフォンでWCDMA/LTEなどの信号を送信する際には、基地局との通信距離や伝送情報によって送信電力が変動している。端末に搭載される電力増幅器の電力は、長距離送信時など大電力を要する状態を想定し電源電圧を一定に保っているため、短距離送信時などの送信電力が小さい時は電力効率が低下する。その解決策として、電源電圧の制御による電力効率の改善が望まれているが、従来の電源制御技術では、増幅器外部に電源ICやインダクタ素子の取り付けが必要となるため、小型携帯端末への適用には課題があった。

そこで同社では今回、CMOS電力増幅器に独自の電源制御方式を適用し、送電電力が小さい時の電力効率を最大2倍改善する技術を開発。増幅器内部において、増幅素子を2つのブロックに分割し、各ブロックへの電源供給経路をスイッチ素子で切り換えることにより、電力効率を最大2倍改善し、低送信電力時の消費電力を半減させることに成功したという。また同技術は、外部に電源専用ICなどの取り付けが不要なため、実装スペースが限られるスマートフォンなどでも適用が可能だという。

なお今後は、歪み性能や雑音性能の改善を図り、3年後をめどに実用可能な技術開発を目指すとしている。

今回開発された技術を適用した電力効率改善のイメージ