ビザ・ワールドワイド(Visa)はこのほど、20代~50代の会社員に対して実施した「支出管理能力の実態調査」の結果を発表した。同調査は、2012年12月1日~5日の期間にインターネット上で行われ、1都6県(東京都、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県)在住の会社員の男女1,675名から有効回答を得た。

まず、食料品など日常的な生活における支払いについて、"実際に利用が多い決済手段"と"本来できるだけ利用したい決済手段"が、「現金」と「電子決済(クレジットカード、プリペイド型電子マネー、後払い式電子マネー、デビットカード)」のどちらかを調査。その結果、実際に現金を利用中で、本来も現金を利用したい「現金派」が37%、実際に電子決済を利用中で、本来も電子決済を利用したい「電子決済派」が30%、利用したい決済手段と利用している手段が一致しない「無頓着派」が33%と、3タイプに分かれた。

次に、現金派と電子決済派にそれぞれの支払方法を使う理由を尋ねたところ、現金派は「いくら使ったか実感しやすい」が71.1%でトップ。それに対して、電子決済派は「支払が早い」(プリペイド型電子マネー)が67.6%、「支払明細が見られる」(クレジットカード)が54.4%で上位に入った。

月々の現金支出とカード支出について、それぞれの計画性に対する意識を聞くと、「月々の現金支出は計画通りだ」と答えた割合は現金派で53.6%、電子決済派で55.7%。「月々のカード支出は計画通りだ」と答えたのは現金派で50.5%、電子決済派で52.5%となり、いずれも両者に大きな差は見られなかった。

一方、ATMで手数料を支払っている割合を調査したところ、「他銀行ATM」については現金派が62.8%、電子決済派が47.1%。「コンビニ・駅構内などのATM」については現金派が44.8%、電子決済派が20.6%と、現金派の方が電子決済派よりATM手数料を支払う割合が高いことがわかった。

ATMで手数料を支払っている割合

さらに、支出管理方法について見ると、「クレジットカードやデビットカードの利用明細を確認している」割合は電子決済派が79.0%、現金派が54.6%。「レシートを保管している」割合は電子決済派が38.5%、現金派が22.8%と、ともに両者の間で差が付く結果となった。

また、支出管理の傾向と普段の生活習慣との相関性について調べたところ、電子決済派は、「夏休みの宿題は、ギリギリになって取り掛かることが多かった」が49.5%と現金派の54.6%と比べてやや低かったほか、「老後の生活資金は計画的に貯蓄できている」が37.1%と現金派の24.2%よりも高かった。

今回の調査結果について、上智大学経済学部の川西諭教授は「電子決済派は自己管理が得意で、利用明細やレシートの確認で予算が管理でき、将来への備えもしっかりできている一方、現金派は比較的自己管理が苦手で、支出管理を目に見える現金に頼ることで対策をとろうとしている傾向が見られる」と分析している。