ヤマダ電機「荒山崇氏」

すっかり暮らしの中に浸透しつつあるオール電化。しかし、オール電化の良さを最大限に引き出して快適節約生活を送るには、それなりの知恵と知識が必要だ。勘違いや誤解だらけのオール電化生活は、節約どころかエネルギーの無駄遣い生活になりかねない。ここはひとつ、"家電のプロ"に指南を乞おう。

ヤマダ電機の家電製品アドバイザー・荒山崇さんに、製品の使用法から組み合わせ術、電力契約まで、オール電化の快適節約術を聞いてみた。

光熱費の基本料金一本化がオール電化の最大のメリット

――オール電化の快適節約術を教えていただくに当たって、まずはオール電化の良さはどこにあるのかからお聞かせいただけますか。

「オール電化のメリットの第一は、直接火を使わないことにあります。建物の火災原因第一位の『コンロからの出火』リスクを最小限に抑えられることです。

第二に、これまで別々だった電気とガスのエネルギー源を電気に一本化することで、コスト削減効果を得られます。電力プランも夜間電力活用型に変更すれば、夜間の割安な電力を使ってお湯や熱源を取ることができ、経済効果はさらに高まりますね。

家庭からCO2の排出を抑えることができることもメリット。地球環境への配慮につながります」

――良いことずくめに思えますが、デメリットも当然ありますよね?

「よく言われるのが、イニシャルコストの高さですね。確かにオール電化に必要な家電設備や製品を導入すると、電気、ガス併用の場合より、初期費用は確実に高くなります。

でも、導入後のランニングコスト、つまり月々の光熱費はぐんと安くなりますので、長い目でみていただければオール電化のほうがお得になるんです」

――調理器具もIH対応に買い替えないといけませんね。

「そうですね。IHクッキングヒーターでは、アルミ鍋や土鍋など、それまで使ってきた調理器具が使用できなくなるケースも発生しますが、これもイニシャルコストと考えてください。

オールメタル対応のクッキングヒーターもありますが、それよりIH対応の調理器具への買い替えがお勧めです。熱効率が断然良いからです」

――東日本大震災があって、停電というアクシデントへの対応も重要なことだと思うんですが、オール電化で大丈夫なんでしょうか?

「災害時の停電に不安を抱く方もいらっしゃいますが、電気は故障が少なく早い復旧が期待できるライフラインで、実際に東日本大震災の際にも一番早く復旧しているんです」

――一番、復旧に時間がかかりそうなイメージがありますが、意外ですね。

「しかし、停電時の備えとしては、カセットコンロを1台用意しておくと良いですね。これで最低限の調理はできますし、普段は鍋用にも使えますから重宝です。

また、エコキュートの機種の中には、停電時でも事前に設定した温度でお湯が出る機能を搭載した製品がありますので、災害で電気も水も止まってしまった場合でもタンク内の水を生活用水として利用できるんです。ただし、飲用には煮沸が必要です」

――オール電化のメリットは大体わかりました。では、オール電化の生活の技術や、使いこなすためのポイントを教えてください。

「エコキュートをお持ちの場合は特に、電力契約を季節別電灯契約に切り替えることをお勧めします。昼間の使用電力は割高になりますが、夜間電力はぐんと割安になります。

この夜間の安い電力と大気熱を利用してお湯を沸かすのがエコキュートです。モード設定で、長期不在などにも対応した調整を機械がしてくれるので、節約効果は抜群です。

その他、洗濯乾燥機や炊飯器、食器洗い乾燥機なども、タイマー機能を使って夜間電力を使用するようにすれば、ずいぶんと月々の電気代が違ってくるはずです」

オール電化と相性抜群な太陽光発電システム

――電気の使用量が多くなる、夏冬のオール電化生活はどうでしょう?

「最新のエアコンにはセンサーが備わっており、床の温度や人の動き、人がいなくなったときなどに対応して、自動省エネ、自動オフ機能が働きます。こうしたエアコンの機能を活用し、さらに、夏なら扇風機やサーキュレーターで部屋の空気を対流させる。冬ならばホットカーペットやコタツなどで足元の暖を確保する。そういった上手な合わせ技をすれば、快適に節電ができるはずです」

――工夫次第で、オール電化はさらに一層快適度、節約度を高められると……。

「そうですね。それと、オール電化と相性の良い太陽光発電システムも活用すると理想的です。割高な昼の電気を太陽光発電で賄えますし、余った電力は売ることができるので売電と買電を相殺して光熱費ゼロにすることも可能です。蓄電池も導入すれば、太陽光発電だけでは賄えなかった部分の電力をアシストできます。私としては、ぜひお勧めしたいですね」

■プロフィール
荒山崇(あらやまたかし)
ヤマダ電機LABI1日本総本店池袋オール電化担当
2007年入社。池袋支店で調理家電を担当後、2012年新設の「新築、リフォーム、太陽光、オール電化のトータルスマニティコーナー」担当。