歌舞伎役者の尾上菊之助と中村吉右衛門の四女、波野瓔子(ようこ)さんが14日、東京・虎ノ門のホテルオークラで婚約報告会見を行った。

婚約報告会見を行った尾上菊之助(左)と波野瓔子さん

昨年末から今年にかけ、中村勘三郎、市川團十郎という看板俳優を亡くして暗いニュースの多かった歌舞伎界。この日は歌舞伎の名門同士の婚約発表という歌舞伎界にとっては久しぶりの明るいニュースで、多くの報道陣が詰め掛けた中で華やかに行われた。

まずは2月26日に東京・神田明神で結婚式を執り行う尾上と瓔子さんが登壇。尾上は「歌舞伎の偉大なる柱を亡くし、日数も浅い時期ではありますが、4月に歌舞伎座の開場も迫っております。喪が明けてからの祝賀と思っていましたが、歌舞伎界で生まれ育った女性を伴侶に持ち、共に歩んでこの難局を乗り切っていくことこそが必要だと考え、当初予定しておりました通り、本日結納を交わさせていただきました」と報告。「生涯の伴侶である瓔子です」と妻となる瓔子さんを紹介しながら「まだまだ未熟な2人ではありますが、どうぞ温かく見守っていただければ幸いです」とあいさつした。

馴初めについて「同じ歌舞伎界で育っていましたので小さい頃から良く知ってました。2年前に会食の機会があり、それから会食などを重ねていましたけど本気で結婚とは考えていませんでした。それから月日が経ち、(中村)勘三郎の兄さんがお亡くなりになって、勘九郎さんや七之助さんの必死な姿を見て、私も早くしっかりとした家庭を持たなくてはと痛切に感じました。この人しかいないと思い、お会いしてから3回目となった昨年の12月末に結婚を申し込みました」と説明。瓔子さんさんの印象を「2年前にお会いしてから何度かお会いして、明るかったし和まされ、二人でいると楽しいです」と話し、瓔子さんも「とても温かく優しい空気をまとった方なので、一緒にいると羽毛布団に包まれたような温かくなるところが素晴らしいと思います」と尾上の魅力を語った。

プロポーズの言葉は瓔子さんの口から「和康さん(尾上の本名)のご自宅で『家を守って下さい!』という言葉をいただきました」と告白。さらに「私も最初にお食事をさせていただいた時は特に意識もしていませんでしたけど、去年の11月に何となく自然に和康さんを支えて差し上げられる存在になれたらと思っていました」と語り、「菊之助さんは色音ですけど(浮気の)心配は?」という報道陣の質問には尾上に確認しながら「大丈夫だそうです」と笑顔を見せ、キラリと光ったエンゲージリングは瓔子さんが勤めていた和光で購入したことも明かされた。

待望の二世誕生は「こればかりは授かりものでございますし、天に任せたいと思います」と言葉を選んだ尾上。「最初はお互い探っているところもありますし、お互い出来ないところもあると思います。出来るところから一つずつ乗り越えて喜べる家庭にしたいですね」と理想の家庭像を語り、瓔子さんも「和康さんの為、そして寺島家を守っていける存在になれるよう一つ一つ努力してまいりたいと思います」と決意を新たにした。

また、途中から二人の父親である尾上菊五郎と中村吉右衛門も登壇。尾上菊五郎は「あんまり女性と縁がなかったので、趣味が違うのかと思っていました。(娘・寺島しのぶの夫である)フランス人よりビックリしましたよ」と笑わせ、中村も尾上親子があいさつに訪れた時のことを「1月にお相撲の芝居をやっていたので、押しが強いしガブリ寄られました」と明かすなど、終始賑やかな会見となった。