■パスタ、スープ、すべて音を立てて食べてはいけない。

海外の訪問回数の多い人でもついついやってしまうのが、パスタ、麺類の「音たべ」だ。

ついつい、ソバやうどんの感覚で、音を立てて、ズルッとやってしまいがちだが、これが一番海外で嫌がられるパターンだ。生まれた時からそうやって食べてきていると意外に自分の癖にも気づかない。

確かに、空気と一緒に吸い込むと、めんとスープが絡まって絶妙な味加減を醸し出してくれる。

あの音を食べてすするのは、実は非常に理にかなっているからだ。

めんとスープが空気と混ざり合い、口腔内の味覚センサー全体で官能できるからだ。

ワインのソムリエもテイスティングの時には、音を立てて空気とブレンドして味の骨格をイメージする。しかし、それはあくまでもテイスティングの場であって、それをレストランで実際に行う人はいない。

それが、大半の日本人はスープ系のパスタとなるとズルズルと無意識にやってしまう。恐らく、外国で音を立てて食事をするのは、食事中の「ゲップ」や「オナラ」に等しいくらいと考えていたほうがよい。

日本の観光客が、平気でパスタをズルズルやっていると、日本語で話しかけられないように、こちらは逃げだしたくなる(笑)

これは旅慣れている人でも、ついつい、日本のソバを食べる時から、意識して習慣づけておかないとやってしまいがちなので海外に出る人は普段から音を立てない食べ方を習得しておかなければならない。

■くしゃみには、神のご加護を!

生理現象である、「ゲップ」や「オナラ」は人前では、セーブすることが可能だが、「くしゃみ」となるとそうはいかない。レストランでくしゃみをすると、周りから一斉に、「GOD BLESS YOU」と言われた。そんな時に限って、くしゃみは見事に止められず、2回、3回と続く、それにつられて、レストラン中が、「GOD BLESS YOU」を繰り返す。奇妙な瞬間だった。

最初は、「こんな神聖な場所でくしゃみをするなんて!神のご加護を!」というクレームかと思った。

日本では、人に噂をされているからくしゃみが出るなんて言われるが、特にアメリカでは、「くしゃみをすると、魂が体から抜ける」ので、神に祈ってくれているという。

だから、失礼というよりも、心配してくれているというニュアンスだ。ただ、これも子どものころからの条件反射で、くしゃみする人には、「BLESS YOU」がついつい出てしまうようだ。

■チップの相場はどのくらい?

レストランの食事で一番慣れないのがチップだ。特に、アメリカ、ヨーロッパの国々のレストランでは、チップはもう別個に払う「別消費税」だと思って考えておいたほうがよい。しかし、サービスが悪いと思った時には払う必要がないと、ボクは考えている。

通常、レストランでは、10%から15%が相場のレストランでのチップだ。13%をきっちり払うために電卓でチップを計算しているシーンもよく見かける。

ホールのウエイターやウエイトレスさんたちは、お店からは基本の給料のみで、稼ぎはほとんどチップからだからだ。そのため、売れっ子のホール担当者はそれだけでも高収入を稼ぎだす。

さらにサービス術を会得するのでサービスレイヤーはますます向上する。店側もそのホールの人たちが、全体の売り上げを向上させるので、いい座席や予約などを便宜させる。

一方、チップを稼げないホール担当者は、稼ぎ方やサービスを経験できないので、さらにチップが稼げない。席の配分の権利も獲得できないので、さらに稼げない。当然、モチベーションも下がる。

それでも客は別消費税と思って支払うのでサービスはまったく向上しない。

アウトソーシングされているサポートセンターのサービスレイヤーがあがらないのとまったく同じ理屈だ(笑)。

ある日のラスベガス。コンベンションの時期でたくさんの人がやってくる。当然、レストランのディナーは激混み。予約をいれていながらも散々待たされる。

ディナーの途中も次の料理がまったくやってこない。業を煮やして急かすと、「ネクスト!」とウインクをするだけ。デザートはあきらめ、精算しようとすると、テーブル会計だという。当然、会計もずっと待たされた…。

それで、会計時に怒り心頭でTipの欄に大きく「$0」と書いた。本当は「-50%」と書きたかったくらいだ。

するとホール担当は、顔を真っ赤にして、「Tip is zero?」「Are you really Japanese?」とも言う。そこで、ボクは「No I am Jew Japanese」とウインクをして言い返した。

Jewとはユダヤ人のことで、アメリカではユダヤ系の人はお金に関してうるさいことは周知のことだ。つまり、ケチンボなのである。

しかし、ケチンボとはなんでも節約するのではなく、納得がゆけばチップをたんまり弾むし、納得がいかなければチップを一切払わない。

ボクはユダヤ人の合理的な考え方は、学生時代やその後の取材で何度もイスラエルに行き、彼らの考え方にすごく共鳴している。だから、お金にまつわるトラブルの時は、必ず、「I m Jewish Japanese ユダヤ系日本人」と名乗るようにしている。

いつも、世界の中で日本人はいいカモなのである。

怒らない、文句を言わない、おとなしい、遠慮する。日本人はもっと世界に対して自分の感情に対して正直であるべきだ。日本人の思い描く、謙虚さは、シャイ(恥ずかしがり屋)と同異義語で彼らには通じない。音をたててパスタをすするほうが、まったく謙虚ではないと思う(笑)。

■極寒のニューヨークの日本レストランでの出来事

ニューヨークの地下鉄で、「神田さーん!」と日本語で呼ばれてバッタリと出くわした日本の国営放送のダイレクターのKさん。…なんともこんなところで!というところで一緒に会食した。

翌日からイギリスに渡り、ザ・ビートルズの歴史をたどるという取材の最後のニューヨーク。

その日のニューヨークはマイナス20度ちかくもある極寒…お店もさすがに人影もまばら…。

ボクは寒くていつまでたってもコートが脱げない状態。ニューヨークでもこれだけの寒さは珍しい。

明日から、リバプールなんですよ…とかビートルズ談義中に、突然、Kさんが、驚いたように「後ろ…後ろ」とボクの背後にいる客をうながした。

なんとそこには、オノヨーコさんと、ショーン・レノンさん。思わず、神が与えてくれたチャンスとばかりに、いつも当時いつも持ち歩いていたシャープの最新の液晶ビューカム(ハイエイトカメラでポール・マッカートニーもご愛用だった)を抱えて、「キャン・アイ・トーク・ユー・フュー・ミニッツ?」といつもどおり適当な英語のボク。

日本語でヨーコさんが「どうぞ、いいわよ!」と気軽にお返事。ヨーコさんのお隣でしばしご歓談。ショーンさんはボクの液晶ビューカムがとても珍しかったみたいで、「クール!クール!」としか言わない…。

ショーンさん、ボクのビューカムを本当に欲しそうだったけど、申し訳ないこれ一台でしかないんですよ。 最後にサインいただきました。


撮影:ショーン・レノンさん

もしかすると、ヨーコさんたちには迷惑だったかもしれないけれど、謙虚でシャイだったら、こんなボクにとってハッピーな出来事はおきない。「リバプールお気をつけて!」とのお言葉をいただけた。当然、この出会いはビートルズ取材に花を添えてくれた。

聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥 Ask much, know much.(たくさん訊いて、たくさん知る)

当然、こんな時のお店にはグッドラックも含めて20%はチップを支払う。

では、また来週!といいながら間が空いてしまってすみません!

2013年も、よろしくお願いいたします!

文/Paul toshiaki kanda 神田敏晶

神田敏晶
KandaNewsNettwork,Inc. 代表取締役
ビデオジャーナリスト / ソーシャルメディアコンサルタント

神戸市生まれ。ワインの企画・調査・販売などのマーケティング業を経て、コンピューター雑誌の編集とDTP普及に携わる。その後、 マルチメディアコンテンツの企画制作・販売を経て、1995年よりビデオストリーミングによる個人放送局「KandaNewsNetwork」を運営開始。ビデオカメラ一台で、世界のIT企業や展示会取材に東奔西走中。

1999年に米国シリコンバレーに進出、SNSをテーマにしたBAR YouTubeをテーマにした飲食事業を手がけ、2007年参議院議員選挙東京選挙区無所属で出馬を経験。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部で非常勤講師を兼任後、ソーシャルメディア全般の事業計画立案、コンサルティング、教育、講演、執筆、政治、ライブストリーム、活動などをおこなう。