北海道の家屋の窓は二重が基本。最近ではペアガラス(複層ガラス)も用いられるが、やはり主流は二重窓

1年のおよそ3分の1を雪に覆われる北海道では、様々なグッズを駆使して冬を乗り切る。それらの中には、道外の人にとっては珍しいものもある。今回は冬場、北海道民が日常的に使用しているグッズや、雪国ならではの住まいの工夫をいくつか紹介したい。

水道の凍結を防ぐ不思議なバルブ

北海道では冬になると、気温が零下を下回るのも珍しくないことは、皆さんもご承知されていると思う。零下というのは、すなわち水が凍る温度のことだ。油断していると水道や湯沸かし器内部の水も、たちまち凍りつくという恐ろしい現象が発生する。学生時代、本州からやってきた友人が部屋の水道を凍結させてあっけにとられた……ということがよくあった。

水道凍結を防ぐため、北海道民が冬場に行うのが「水落とし」である。これは、不凍栓を操作して、水道管の中の水を抜く作業だ。北海道の家々には、降雪地の住宅には見られないような謎のバルブがある。水道が凍結しそうな日は、このバルブをひねるとあら不思議、どれだけ寒くても水道は凍らないのである。

この仕組みを簡単に説明したい。水道水は水道管を通じて各家庭に流れてくる。水は地底のある一定の深さより下では凍結せず、当然水道管はその深度に設置されているのだが、この専用バルブをひねることで、家の中まで巡っている水を凍らない深度まで落とすことができるのである。だからこの作業を「水落とし」という。

最近では水道管に熱線を張り巡らせ、温度で水道凍結を防いでいる建築物が多くなっている。しかし昔ながらの北海道人の感覚だと、それでは少し心もとない。やはりストンと水を落として自然の力で凍結を防ぐ方が、はるかに安心感が強い。

家中の蛇口を開いて水を流し、最後にこのバルブを閉めると水落とし完了

雪でスタックした車は、これで脱出

北海道では車で雪道を走れるよう、昔はスパイクタイヤ、現在ではスタッドレスタイヤが使われていることは、誰しもご存じだと思う。それらのタイヤは雪や凍結路面などで滑りを抑える効果を発揮するが、うっかり深い雪などに車がはまってしまったら、もうスタッドレスの氷上性能うんぬんの問題ではない。本当にお手上げだ。

そんな時に活躍するのが「スノーヘルパー」だ。雪に埋まって空転しているタイヤの下にこのヘルパーを押し込み、スタックから脱出するのである。シンプルなグッズだけど、これがあると無いのでは、冬道走行の安心度はかなり違ってくる。頼れるヤツなのだ。

先日、吹雪の山道を走っていたら、路肩でスタックしていた車に出くわした。大阪からいらっしゃったという家族で、スリップした車が路肩の雪の吹きだまりに突っ込み、そのままスタックしてしまったとのことだった。

一般道路でスタックすることはあまりないけれど、こういうケースでスタックに陥る危険性がある。北海道でレンタカーを利用する際は、レンタカー会社にヘルパーを搭載しているか確認した方がいいだろう。

単なる板にしか見えないスノーヘルパーだけど、いざという時は頼れるヤツだ

大変な氷割りは、この棒におまかせ

重労働である氷割りの負担を革命的に軽減した魔法の棒

寒い日が続くと降り積もった雪が凍り、北海道ではいたるところがスケートリンクのように凍結状態になる。歩行するのは大変危険で、家の玄関前などが凍結したら、速やかに氷割りを行わなければいけない。

氷割りに威力を発揮するのはツルハシだが、ツルハシは扱いが結構大変だ。砕けた氷が顔に向かって飛んでくるし、作業がどうしても前かがみの姿勢になってしまうので、腰が痛くなってしまう。

しんどい氷割りを楽ちんにできるようにと、様々なグッズが開発された。そのひとつが「らく楽ハンドボー」だ。先端部分を氷にあてがい、片手で本体を固定する。そしてもう片方の手で、おもむろに本体にあるグリップを上下させるだけで、どんどん氷が割れていく!というスグレものなのである。

破壊力の強さではツルハシに軍配が上がるけれど、腰をかがめることなく、楽に氷を割っていけるということで、発売以来注目を集めている。

今回はシンプルながらも大いに頼れるものたちを、厳選して紹介させていただいた。冬の生活を乗り切るためのグッズは他にもまだまだあり、どれも冬の北海道には欠かせないものばかりである。

●information
リスロンオタル(らく楽ハンドボー通販)