ヤクルトは2月4日、健康な成人女性を対象に同社の保有するビフィズス菌「ビフィドバクテリウム ブレーベ ヤクルト株」および「ガラクトオリゴ糖」を含む発酵乳(ビフィズス菌発酵乳)の飲用試験を、肌が乾燥しやすい季節(秋季から冬季)に実施したところ、肌の乾燥を抑制する効果を確認したと発表した。

同成果の詳細は、科学雑誌「Bioscience of Microbiota, Food and Health」オンライン版に掲載された。

一般に腸内環境の悪化を示す指標として、腸内細菌が作り出すフェノール類が知られている。これらの一部は便とともに体外に排泄されるものの、多くは腸管から吸収されて血液に移行することが知られている。同社はこれまでの研究で、血液に移行したフェノール類が、皮膚に到達し、特に表皮の形成過程に悪影響を及ぼすことを明らかにしてきたほか、過去に行った東京および大阪在住の20~60代女性(600名)を対象とした調査から、腸の状態が悪い人ほど、乾燥などの肌トラブルで悩む人が多いことが分かったほか、腸の状態が良好に保たれている人ほど、乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスの摂取頻度が高かったことを確認しており、今回、健常女性を対象に、腸内環境改善効果を有するビフィズス菌を含む発酵乳の摂取が肌性状へ与える影響を調べるため、飲用試験を実施したという。

実際の試験は、20代から70代の健常女性39名を2つのグループに分け、それぞれにビフィズス菌発酵乳(B.ブレーベ・ヤクルト株100億個以上、ガラクトオリゴ糖0.6g)または疑似飲料(B.ブレーベ・ヤクルト株およびガラクトオリゴ糖を含まない)を1日1本(100ml)、4週間飲用してもらうというもので、角層水分含量、角層カテプシンL様活性、採血などの検査が行われた。

この結果、血中フェノール濃度の変化は、疑似飲料群では、飲用前後で血中フェノール濃度に変化は見られなかったものの、ビフィズス菌発酵乳飲用群では、飲用によってフェノール濃度の有意な低下が認められ、疑似飲料群よりも有意に低い値が示されたという。

血中フェノール濃度の変化

また、角層水分含量の変化では、疑似飲料群では、飲用前に比べ飲用後は水分含量の有意な低下が見られたものの、ビフィズス菌発酵乳飲用群では、試験期間中、角層水分含量が維持されため、疑似飲料群よりも有意に高い値が示されたという。

角層表面の水分含量の変化

さらに、皮膚細胞の代謝酵素の一種で、表皮の角化が正常に行なわれているかどうかの指標となる角層カテプシンL様活性への影響調査では、発酵乳飲料群で、飲用前に 比べ飲用後では有意な上昇がみられたという。

角層カテプシンL様活性の変化

これらの結果から研究グループでは、ビフィズス菌発酵乳の飲用により、腸内で作り出されるフェノール類が減少し、皮膚への移行量が抑えられ、表皮の形成が正常となり、皮膚の構造が保たれて水分保持機能が高まった可能性が考えられるとするほか、被験者の中には、飲用前に不均一だった角層細胞形態が、ビフィズス菌発酵乳の飲用によって整った形に改善される例もあったことが確認されたとしており、ビフィズス菌発酵乳が便秘や肌荒れに悩む女性だけでなく、健康な女性に対してもQOL向上につながることが期待されるとコメントしている。