2012年末の総選挙後から、にわかにマーケットが活気を取り戻し始めている。円高基調が円安に転換し、日経平均株価も久しぶりに一万円を超え、ちまたでは「これから景気が良くなるんじゃないか」という見方も増えてきた。しかしながら専門家の意見はさまざまで、衆院選で圧勝し政権交代を果たした自民党の安倍晋三首相が掲げる「アベノミクス」により経済が元気を取り戻すという人がいる一方、株価上昇は今だけだという人もいる。

お金の問題は日常生活において誰もが避けては通れない。日本の経済が大きく動きそうな2013年、われわれはお金とどう向き合っていけば良いのだろうか。経済の動向を最も敏感に反映する「投資」の世界のプロフェッショナルに話を聞くべく、GMOクリック証券の高島秀行社長に取材を依頼した。

――よろしくお願いします。最初にズバリ伺いますが、政権が変わって今後景気は良くなるとお考えですか?

あまり変わらないんじゃないでしょうか。現在は新政権への期待で株価が上昇していますけれど、新政権が掲げるように実質GDP(国内総生産)を2%押し上げるのって相当難しい事だと思います。当然、応援していますし、景気が良くなるに越したことはないんですがね。

――最近、株価上昇と同じく円高から円安の流れになっていますが、いま、FXは盛り上がっているんでしょうか?

いえ。それほど動いていないんですよ。実はマーケットが大きく動くのって「事件」があった時なんですね。リーマン・ショックであったりサブプライム危機であったり。そのような「事件」によって、マーケットに多くの人が参加するんです。ボラティリティ(価格変動率)が大きくなるんですよ。

――なるほど!次に「投資」の世界、特に現在、個人投資家にはどのような金融商品が人気があるのかを伺いたいのですが?

今はCFDが人気ですね。CFDとは「Contract For Difference」の頭文字で、日本語に訳すと「差金決済取引」となります。

――CFDですか……。不勉強で何が何やらさっぱり分からないのですが、CFDとはどのような商品か、なぜ人気なのか、教えてください。

CFDというのはですね、簡単に言うと「実際に購入する金額よりも少ない金額で取引ができて、売買の差額は、実際の購入金額分受け取ることができる」つまり、レバレッジを効かせて売買し、決済時には売買の差金だけを受け取る(支払う)金融商品です。少額で取引できることと、日経平均等の指数から金や原油の商品指数までさまざまな商品が取引できることから個人投資家に人気ですね。

――なるほど。少しだけ分かってきました。でも、いろいろな商品が取引できるってことは、逆に複雑で難しいとも考えられるのですが?

日経平均先物の取引は大阪証券取引所、金や原油の商品先物取引は東京工業品取引所などと、本来は商品ごとに取引所が決まっていてそこでしか取引できません。CFDは取引所での取引とは違って「店頭取引」、つまり取り扱っている業者が取引ルールを決めることができるので、いろいろなジャンルの商品があっても取引ルールを統一できたり価格面を取引所より割安にできたりします。当社では、CFD取引手数料は0円ですし統一された取引ルールでいろいろなCFD取扱商品を取引できます。

――詳しい説明ありがとうございます。ところで、GMOクリック証券を利用される方ってどのような年齢層の方が多いのでしょうか?ほかに利用者の傾向があれば聞かせてください。

大体、35歳から45歳の男性が多いですね。取引されるツールではスマートフォンの比率が高いです。

――高島社長はシステムエンジニアのご出身と伺いました。やはり「投資」の世界でも技術力は重要なのでしょうか?

そう思いますね。私だけでなく、弊社の社員の半数がSEを担当しているんですよ。よりお客さまが利用しやすいサービスをもたらすのはやはり技術であると思います。

――タメになるお話、ありがとうございました。

(インタビュー・文/本折浩之)