国立天文台など、太陽の北極でのみ磁場の反転がさらに進行中と確認

 

国立天文台と理化学研究所の研究者を中心とした国際研究チームは1月30日、太陽観測衛星「ひので」を用いて2012年9月に太陽北極域の磁場を観測したところ、太陽北極深部で磁場の反転が急速に進んでいる一方、南極全域の磁場は依然として変化が少ないことを確認したと発表した。

今回の発表内容は、2012年4月に行った太陽極域磁場反転に関する研究発表)のその後の状況について報告するものだ。

太陽の北極域が地球側を向く2012年秋は、太陽北極点を含む北極深部の観測の好機だった。そこで「ひので」を用いた集中観測が、2012年9月10日から10月7日にかけて行われた次第だ。今回の観測によって、太陽北極で磁場の反転が進んでいることが確認された。

画像1は今回の観測結果を、画像2は比較のために2007年9月の「太陽活動の極小期」の観測結果を示したものである。今回の観測では、2007年9月に見られた大量の負極の強磁場斑点(オレンジ~赤色)の数が激減。また、1つ1つの磁場斑点の大きさが小さくなっていることが分かった一方、無数の正極の強磁場斑点(青色)が、低緯度側を中心に出現。これは、全体として、北極の反転が進んでいる証拠だという。

画像1。2012年9月10日から10月7日に「ひので」により観測された太陽の北極域の磁場パノラママップ。青は正極、赤は負極を表す (提供 国立天文台/JAXA)

画像2。2007年9月の北極域の磁場パノラママップ(「ひので」による)。画像1と同様に青は正極、赤は負極を表している。(画像は2012年4月に発表された際のもの) (提供 国立天文台/JAXA)

画像3と4は、これまでの「ひので」による極の平均磁場量の時間変化を示したものだ。北極の負極磁場の量は前回の報告に引き続き減少傾向を続けている。その一方で、正極磁場の量は変化がほぼなく、北極全体としては磁場の反転が進行しているといえるという。

強磁場斑点の平均磁場強度の時系列プロット。画像3(左)が北極で、画像4(右)が南極。青は正極、オレンジは負極を表す (提供 国立天文台/JAXA)

「ひので」の観測により極磁場の反転が低緯度側から起きることもはっきりした。北極については、低緯度側から反転が急速に進行し、現在緯度75度以北まで正極になっていると推定されるとしている。

画像5(左)は北極の、画像6(右)は南極の磁場の正極/負極の割合を緯度ごとに示したもの。北極側は2007年9月の負極が青点線、2012年1月の負極が緑実線、2012年9月の負極が青実線。南極側は2012年3月の正極が赤実線。

2007年9月の観測データでは、北極は負極が圧倒的に優勢だが、2012年9月のデータでは70度付近で極が反転し、正極のほうが多くなっている。南極側は2012年3月の時点でどの緯度でも以前と同じく正極が支配的である。

磁場の正極/負極の割合を緯度ごとに示したもの。画像5(左)は北極で、画像6(右)は南極 (提供 国立天文台/JAXA)

反転が進行する北極に対して南極磁場は、2013年1月の最新の観測でもそのような反転の兆候は見られず、正極が依然として維持されていることが確認済みだ。

第24太陽サイクルの極大期は、2013年秋で、その時の平均相対黒点数は69と予想されている。これは、過去100年で最低の極大期黒点数であり、当面、太陽活動は低調に推移することが予想されるという。

太陽の極域磁場のデータは、次の太陽サイクルの黒点数を推定する上で重要な情報を提供する。「ひので」は、地上観測・衛星観測を通じて極点を含む極域を観測できる唯一の天文台だ。特に、マウンダー極小などの極端な太陽活動の低下が今後発生する場合、その兆候が1サイクル近く前(~11年前)に極域磁場に現れると予想されることから、研究グループでは今後も集中的な極域の観測を継続して実施していく予定だとしている。



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