三菱電機は1月29日、産業用ロボット「MELFA」シリーズのオプション製品として、これまで自動化が難しかったロボットによるばら積み部品の取り出し・整列作業を可能にする小型3次元ビジョンセンサ「MELFA-3D Vision(型式:4F-3DVS2-PKG1)」(画像)を2月4日に発売すると発表した。価格は298万円、那古野製作所が製作担当工場で、2013年度の生産目標は200台となっている。

同製品の特長は2つあり、1つ目が「モデルレス認識」によりばら積み部品の把持可能な箇所を高速検出できる点である。これまで、ロボットによるばら積み部品の整列は、積まれた状態の個々の部品の3次元姿勢を認識し、それに応じて部品の取り出し方法、整列方法を決定していたが、部品同士が重なり合った状態で姿勢を認識することは難しく、また、ロボットの動きの制約から、認識できても取り出せない場合があった。そのため、ロボットで扱える部品は単純な形状のものに限られ、ほかの部品は専用パレットや部品整列装置を利用する必要があったのである。

それを実現するため、今回、ばら積み部品を立体計測する3次元センサにより部品の把持位置を高速に認識する「モデルレス認識」機能が開発された。モデルレス認識では、事前に部品形状を登録する必要がいらない点が特長で、立体計測情報を基に、ロボットハンドが入る隙間を探して把持位置を決定する仕組みとなっている。ロボットハンドの開閉幅と爪の幅と高さを設定するだけで、部品の把持可能な箇所を最速約1.2秒で高速認識する性能を持つ。また、パイプ、ボルト、ネジなどの小物部品にも適用可能な点もポイントとなっている。

2つ目の特長は、カメラヘッドの小型・軽量化によりロボット本体に装着可能にしたこと。3次元計測用のパターンを照射する投光部と撮影するカメラ部をコンパクトにまとめて約900gという軽量化を実現。2kg可搬タイプの小型ロボット本体に装着でき、部品整列装置に比べて省スペースで済むというわけだ。

主な仕様は以下の通り。

  • 計測方式:パターン投光型三角測量方式
  • 認識方式:モデルレス(4自由度XYZC)、モデルマッチング(6自由度XYZABC)
  • 対象ワーク:パイプ、ボルト、ネジ、プレス品、鋳物などの小型部品
  • 計測有効点数:約30~60万点
  • 計測視野角:約15~20度
  • 計測距離:300~1000mm
  • 最小計測誤差:0.3mm~(同社の測定条件下にて)
  • 外観寸法:カメラヘッド部(146/246/396(W)×87(H)×137(D)mm 幅(W)は可変)、制御ユニット部(430(W)×370(H)×98(D)mm)
  • 質量:カメラヘッド部(0.9kg(最小時))、制御ユニット部(12kg)
  • 電源:AC200V

なおモデルマッチングに関しては、3次元モデル認識機能の搭載により、3次元での姿勢認識を行うことも可能だ。

同社では、MELFA-3D Visionを導入することで、これまでの人手や部品整列装置(パーツフィーダ)を利用した部品の取り出し・整列作業が不要となり、生産現場の自動化の向上に貢献するとしている。

MELFA-3D Vision