計測機器大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは1月29日、オシロスコープ「Infiniium 90000X」シリーズとして、8チャネル使用時20GSa/sのサンプリングレートを実現したミクスドシグナルオシロスコープ(MSO)6機種を投入すると発表したこと、ならびに13GHz帯域のDSO/DSAモデルを投入し、ラインアップの拡充を図ることを発表した。

同シリーズの新製品は、他社の高性能MSOと比べて60%高速となる8チャネル使用時20GSa/sのサンプリングレートのほか、16チャネル時でも10GSa/sのサンプリングレートを実現しており、アナログ帯域70MHz~33GHzまでのラインアップとなっている。また、13GHz帯域のDSO/DSA/MSOモデル投入により、低ノイズ/低ジッタ測定フロアを実現した「90000X」シリーズの低価格化も実現したという。

90000XシリーズのDSO/DSAモデルのユーザーは、MSO機能を後から追加することが可能となっており、アップグレードキット「Agilent N2834A」を利用することでMSOへと機能拡張を果たすことが可能だ。このMSOへのアップグレードや、従来から提供している帯域およびメモリのアップグレードにより、90000Xシリーズは高い柔軟性、拡張性を持ったプラットフォームとなった。

また、他のMSOとは異なり、90000XシリーズのMSOモデルでは、各デジタルチャネルあたり400Mポイントのデータ捕捉が可能。高速のアナログチャネルとデジタルチャネルのサンプリングレートの違いに対応するため、オシロスコープ本体の2Gポイントのメモリを含め、アナログトレース長に合わせて使用するメモリ容量を自動的に調整するほか、大容量メモリにより、長時間にわたるイベントでも時間の相関をとったデータ捕捉が可能となっている。

さらに、DDR3のような超高速メモリチャネルでは、信号が複雑で、熟練エンジニアでもトリガをかけるのが困難な場合があるため、DDRに対応した特別なトリガモードを追加しており、これにより、リードとライトの切り分けや、複雑な条件のアイ設定などが可能となっている。

加えて、近年のオシロスコープでは、アナログチャネルの信号をもとに、プロトコルに変換して表示する機能を搭載しているため、エンジニアは簡単な解析を行うことを目的にアナログチャネルを用いる場合があるが、同方法では、アナログ信号とデジタル信号の両方を解析する場合には、チャネル数が不足する場合があった。90000XシリーズのMSOモデルでは、アナログチャネルとは別に、16個の高速デジタルチャネルを使って観測することが可能であり、これにより例えばDDRでは、測定用のデジタルチャネルでプロトコルを確認できるようになり、プロトコルの評価を行いながら、アナログ信号の影響を把握するという検証もできるようになるという。

なお、今回の90000XシリーズのMSOモデルは、同社のロジックアナライザ同様、90ピンコネクタを採用しているおり、以下のようなアクセサリ類を利用することが可能だ。

  • 17チャンネル 差動/シングルエンド ソフトタッチ・コネクタレスプローブ
  • 17チャンネル 差動/シングルエンド フライングリード・セット
  • 17チャンネル 差動/シングルエンド Samtecコネクタ
  • DDRインタポーザプローブ

なお、価格は、帯域幅(2/4チャネル)が32/16GHz、サンプリングレート(2/4チャネル)が80/40GSa/s、MSOサンプリングレート(8/16チャネル)が10/20GSa/sの「MSOX93204A」が3691万61円(税別)。「90000X」シリーズ MSOへのアップグレードを行う「N2834A」は284万1667円(インスツール作業費ならびに消費税は別)。すでに販売を開始しており、出荷開始はMSOモデルが2013年中頃の予定となっているほか、「DSOX 91304A/DSAX 91304A」はすでに出荷を開始しているという。

「Infiniium 90000X」シリーズの1つ「MSO-X 92004A」の外観