JNCと浜松カーボニクスが設立したSHJコンソーシアムは1月28日、紡績可能な多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の製造技術を開発したと発表した。

CNTは、炭素原子が網状にならんだ筒状の巨大結晶分子であり、高電気伝導性、高熱伝導性、高強度、極軽量といった特徴を有するため、航空機の機体や電気自動車のモータなどに使用されている炭素繊維や銅線に替わる次世代素材として期待されている。

現在入手可能なCNTは、数μm~数百μmと短いだけでなく、水や有機溶媒への分散性が低いため、繊維やシートに加工する際は溶媒に分散させるための前処理が必要などの課題があり、これらを解決するCNTの開発が強く望まれていた。

今回、開発した技術によって製造されるCNTは、基板上に数mmと長く、かつ高速で製造でき、その長いCNTを基板上から50m以上にわたって連続して紡績することができる。これにより、紡績に際して溶媒分散などの前処理が不要となり、製品までの工程およびコストの削減が期待できるという。

今後、同技術によるCNTの量産装置の開発を進めるとともに、繊維やシート製品の市場投入に向け、2015年4月をめどに製造開始する計画。また、ユーザーに少量のサンプル提供も同時に行っていく方針としている。

基板から直接CNTを紡績可能(左)。右は紡績したCNT繊維