薄焼き玉子の花の中にはじゅんさいが包まれている

昨今のご当地B級グルメブームを受け、各地で新ご当地の味が続々誕生している。今回紹介する「三種じゅんさい丼」もそのひとつだが、とにかく反則気味においしいのだ! 地場の優れた食材が見事に調和するこの極上の味は、秋田に行く際にはなんとしても体感していただきたい。

ヌルヌル好きを狂わせる魔の食感

まず、三種じゅんさい丼を構成している食材を紹介したい。ごはんの上に乗っている薄焼き玉子の巾着の中に、緑のエメラルドとも称される「じゅんさい」が包まれている。

「じゅんさい」とは澄んだ淡水の池沼に自生する水草で、若芽の部分が食用とされる。東北周辺ではおなじみの食材で、ヌルミのある食感が特徴だ。オクラや納豆などヌルヌル系食材が大好きという人(筆者もそのひとり)にはたまらない。そしてヘルシーな食材でもある。

この核弾頭を搭載しているごはんは酢飯で、米はあきたこまちを当然使用しているのだが、ここに地場産の刻み梅が混ぜ込まれている。ごはんの上には、これも地場産の刻みノリがのり、最後にじゅんさいを包む巾着がのせられる。巾着の周りにもじゅんさいがまぶされている。

澄んだ池沼に自生するじゅんさい。小舟を使い収穫する風景は風流だ

しょう油をたらし、一気にいくべし!

以上の内容で丼本体は構成されているが、決してそのまま食べてはいけない。わさびをといたしょう油を適量たらすことで、三種じゅんさい丼本来の味が100パーセント生きるのである。ちなみにわさびしょう油をたらす際は、巾着を開けるのも忘れないでいただきたい。

後はもう食べるだけ。まずは巾着の周辺に散りばめられたじゅんさいとごはんを食べていく人が多いようだが、筆者は巾着もろとも豪快にかき混ぜ、かき込んでいくスタイルで攻める。

じゅんさい、刻み梅が混ざる酢飯、刻みノリ、粉砕された薄焼き玉子……。鉄壁なバランスの味にとどめとばかりにわさびしょう油が、一度食べたら忘れられない味に引き立てるのである。

可愛らしい見た目だが、ごんごんとかき込んで食べるとよりおいしい

三種町近隣の6軒の店で食べられる

三種じゅんさい丼は、じゅんさいの生産量が日本一を誇る秋田県三種町にある、6軒の店の有志が集まって考案された。地場の食材を使うのが新ご当地グルメの定石だが、これほど素材の味をバランスよく使い切っている丼はまれ。見事としか言いようがないほどだ。

三種じゅんさい丼にセットで付いてくる副菜などは店ごとに異なるが、じゅんさい丼自体は同じ食材で構成したものを出している。詳しくは公式ホームページをご参照いただきたい。三種に行く際には、絶対にお試しいただきたい新ご当地グルメである。

三種じゅんさい丼を提供している「さくら亭」。本社が三種町にあるので、新メニュー考案のプロジェクトに参加したそうだ

●information
三種じゅんさい料理推進協議会