高病原性の鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)についての研究を自主的に停止していた東京大学医科学研究所の河岡義裕教授などの世界の研究者39人は、研究を1年ぶりに再開するとの声明を連名で、23日付の英科学誌「ネイチャー」と米科学誌「サイエンス」の各オンライン版に掲載した。

H5N1型ウイルスについては2011年に、河岡教授やオランダ・エラスムス医療センターの研究チームが遺伝子の変異で哺乳類同士でも空気感染する仕組みを解明し、論文をそれぞれ各誌に投稿したが、研究結果が生物テロに悪用されることを懸念した米政府の科学諮問委員会が、論文の一部削除を求めた。その後、世界保健機関(WHO)が全文掲載を求め、同委員会も削除を撤回するなどして、論文は昨年5月に両誌に掲載されたが、河岡教授ら研究者は安全基準を作る時間などが必要だとして、昨年1月20日付の両誌でウイルスの感染研究を自主的に停止すると宣言していた。

研究再開の理由として、WHOが実験室で扱う際の安全性の手引を定めたことや、複数の国で研究実施の環境や条件の見直しが終わり、基準作りが進んだことなどから「自主停止の目的は達成された」としている。

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