神秘の山として古代から信仰を集めてきた「三輪山」

古代日本の中枢をなしていた奈良県には、数多くの遺跡がある。とりわけ集中しているスポットは、いにしえより原始信仰の対象とされた三輪山。古墳時代には、山麓に次々と大きな墓が作られたという歴史を持つ山だ。

三輪山は奈良盆地に数多くある山の中でもひときわ整った円錐形をしている美しい山で、『古事記』や『日本書紀』には、「御諸山(みもろやま)」や「美和山(みわやま)」、「三諸岳(みもろのおか)」という名で記されている。

かつては立ち入ることは許されなかった

“神の宿る山”とされた三輪山は、一木一草に至るまでおのをいれることが許されていなかったことから、今も原始の奈良盆地の姿をとどめ、松・杉・ヒノキなどの大樹に覆われている。かつては、神官僧侶以外は足を踏み入れることさえ許されなかったが、今は「入山者の心得」を守れば誰でも山に入ることができる。

ただし入山の際は、麓にある「大神(おおみわ)神社」の摂社「狭井(さい)神社」の社務所で許可が必要。氏名・住所・電話番号を記して300円を納め、参拝証の白いたすきを受け取っておはらいを済ませる。また、往復2時間ほどの道中、このたすきを外すことは禁止されている。さらに、3時間以内に下山しなくてはならないなどと、いくつか決まりがある。

三輪山そのものを御神体としている「大神神社」

登山中に、飲食や喫煙、写真撮影などをしてはいけないのはもちろん、下山してからも山中で見たことや聞いたことを他人に話すことを慎むのがマナーになっている。なお、午後4時までに下山しないといけないため、午後2時以降は入山が許可されない場合もあるという。

大美和の社展望台からは奈良盆地の神々しい風景が見られる

“山辺の道エリア”にある「桧原神社」から見える神秘的な光景

日本最大のパワースポット

山全体が神聖だとされ、信仰の対象となっている三輪山。TVなどでは“日本最大のパワースポット”としても紹介されることが多い。もちろん山中にカメラなどは入れないので真相のほどは定かではないが、訪れた人の話によると、頂上に謎の巨石群があるそうなのだ。

実際、この山に登ると霊感がさえるといういわれがあるせいか、スピリチュアルヒーラーや占い師、霊能者などはこぞってこの山に登っているという。もちろん一般の人でも効果は同様なようで、縁結びや縁切り、お金や人のよりを戻すなどのご利益が期待できると言われている。

周辺には、卑弥呼の墓とも伝えられている「箸墓(はしはか)古墳」もある

付近には他にも数多くの神社などがある

ちなみに、登山の受付場所にもなっている大神神社も、霊験あらかたといわれている。縁結びや交通安全、産業開発など、人々を幸福にして豊かにしてくれるとのこと。

この大神神社近辺には、金屋(かなや)の石仏や平等寺、桧原(ひばら)神社など、神秘的な話が残る史跡が数多く点在していて、桜井市ではそれらを結ぶルートを“山辺の道エリア”として紹介している。その他にも、“伊勢街道エリア”や“多武峰(とうのみね)街道エリア”など、古代のロマンを感じさせるルートが設定されている。

神秘的な香りが漂う奈良の地でも指折りの、霊験あらたかな桜井市。今生のご利益を求めて訪ねてみてはいかが?

●information
桜井市観光情報サイト