計測機器大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは1月9日、同社の12ビットオシロスコープ「AgilentInfiniium 9000H」シリーズとして、帯域幅250MHz、500MHz、1GHz、2GHzの4モデルを発表した。

4製品の最大の特徴は、12ビットの垂直分解能を実現したことで、一般的な8ビット分解能のオシロスコープと比べ、16倍の分解能を実現している。また、標準で1チャネルあたり最大100Mptsのメモリを搭載しており、1チャネル当たり500Mptsまで増設が可能。これにより、長時間の波形捕捉や高速サンプリングレートの維持などを実現することが可能だ。

また、振幅の小さな信号を正確に観測する場合、ノイズが大きな障害になるが9000Hシリーズでは、ハイパーサンプリング技術とリニアノイズ低減技術により、従来の8ビット分解能オシロスコープと比べて、ノイズレベルを1/3に低減。これにより、既存の8ビット分解能オシロスコープではノイズに埋もれて測定できなかった信号も観測できるようになった。

加えて、近年の電流測定において、2つの大きな問題(1つ目は、プローブシステムによる測定ノイズや分解能が正確な測定の障害となる「微小電流測定ニーズ」。2つ目は、電流プロファイル全体像を観測できる「広いダイナミックレンジ」)が生じており、それら2つの特徴を併せ持った電流測定の実現が求められるようになっていた。そこで1つ目の課題について、同社では微小電流の観測・解析に適した低ノイズプローブを新たに開発。AC/DC電流プローブ「Agilent N2820A/N2821A」は50μA~5Aの電流範囲に対応した高感度プローブで、電源回路におけるプロービングの難しさへの対応のため、MBB(Make-before-break)コネクタを採用。コネクタの機械的機構により、測定対象基板上の複数の電源ジャンパ箇所において、電源を遮断させることなく、簡単かつ信頼性高く接続・取り外しを可能とした。2つ目の課題に対しては、微小電流測定チャネルと併せて、数A単位で変動する電流プロファイル全体像の2チャネル同時観測により、高い精度での消費電流測定を可能としたという。

なお、価格は、250MHzに対応した「DSO9024H」が182万2208円(税別)。500MHzに対応した「DSO9054H」が214万8927円(税別)、1GHzに対応した「DSO9104H」が276万4720円(税別)、2GHzに対応した「DSO9204H」が305万3804円(税別)で、いずれもすでに発売を開始している。また、電流プローブ「N2820A」シリーズは、高感度2チャネル対応の「N2820A」が約55万円(税別)、高感度1チャネル対応の「N2821A」が約40万円(税別)で、こちらは2月1日より発売開始する予定となっている。

アジレントの12ビットオシロスコープ「AgilentInfiniium 9000H」シリーズ