不動産アドバイザーに聞く。シェアにお勧めという「振り分け間取り」とは?

「誰かとルームシェアをするには、振り分け間取りの部屋をお勧めしています」と話すのは、「快適で安全な一人暮らし・女性の暮らし」をモットーに活動する不動産アドバイザー・穂積啓子さん。振り分け間取りとはどういうタイプなのか、また、どんなメリットがあるのかを伺いました。


■玄関やトイレに、相手の部屋を通らずに行ける間取り
日本でも、都会を中心に学生や若い人の間で浸透しつつあるルームシェアという暮らし方。でも一般に、他人と暮らすには楽しいばかりではなく、だんだんとトラブルも増えてくるのが現実だとよく耳にします。

そういう場面を見据え、穂積さんは、
「ゆくゆくのトラブルを回避するためには、自分のプライベートを守ることができる振り分け間取りの部屋をキープしましょう」と話します。

「振り分け間取り」とはどんな間取りを言うのでしょうか。
「自分の部屋から玄関、キッチン、トイレ、風呂、ベランダなどの共有スペースに行くのに、相手の部屋を通ることなく行き来できる間取りのことです。

理想としては、例えば、2LDKでリビングとキッチンが中央にあり、その左右に個室が同等の広さで1室ずつある。それぞれに施錠ができる。収納がある。テレビのジャックがある。エアコンがある。ベランダか窓があって通風、彩光があることです」(穂積さん)

それならプライバシーを守りつつ、リビングを利用してコミュニケーションもとれる、また、家賃と共益費を折半して節約できるという、シェアの目的の多くを実現できそうです。そのような理想の間取りはよくあるのでしょうか。

「いいえ、ルームシェア用に設計された部屋は皆無なのが現実で、ファミリー向けの振り分け間取りタイプを使用することになります。よくあるのは、リビングが端にあり、個室は隣り合うタイプがです。個室間の仕切りは、壁1枚か、あるいはクローゼットや押し入れになります。

ですから、各個室の広さ、収納スペースの割合、様式(洋室か和室か)、ベランダや窓があるかないか、部屋の向き、通風や彩光の具合、洗濯物を干すスペースの大小など、すべて条件違ってきます。どの部屋をどちらが使うのか、もめることがないような間取りを根気よく探すことが重要です」(穂積さん)

■内見では、2人で動線をチェック

一軒家をシェアする人も多いようですが、最近の傾向について、
「希望は増えています。一人で一軒家を借りるのは家賃の関係で難しいけれど、シェアなら、家賃を抑えつつ、広いリビングやキッチン、風呂を使えるというメリットがあります。

1階がリビングで2階が個室、さらに1~2部屋余ることもあります。3~4名でシェアする人もいます」と穂積さん。

続けて、振り分け間取りを希望する人たちをこう挙げます。
「シングルの若い人が友人とシェアするだけでなく、新婚や同せいのカップル、中高年の親子や夫婦、また、子どもの成長とともに振り分け間取りに引っ越すファミリーも多いです。
さらに、一人暮らしで、自宅で仕事をするSOHO(ソーホー)の人にも活用されています」(穂積さん)

最後に穂積さんは、振り分け間取りの選び方について次のようにアドバイスをします。
「自分だけではなく、ルームメイトの動きについても考えましょう。お互いの動線がどうなのか、廊下でぶつかり合わないかなど、必ず2人でいっしょに複数の部屋を内見してチェックしてください。

リビングや、洗面所、風呂、廊下など共有スペースを意識しながら、2人でいろいろと歩いてみます。『玄関で朝の忙しいときに相手がいて飛び出ていけない』などでもめることもあるのです。できるだけそういう接触点が少なくてすむ間取りを選ぶことが得策でしょう。
家賃の節約が目的であっても、少し余裕がある広さを選ぶ視点も重要です」

振り分け間取りは、その特性を生かせばかなり使い勝手がよく、充実した住まいになるだろうことが分かりました。ルームメイトや家族と慎重に話を重ねることが、よい部屋に出合うことへの鍵となるようです。


監修:穂積啓子氏

「安全で快適な一人暮らし」、「女性の安全な暮らし」をテーマとして活動する不動産アドバイザー。宅地建物取引主任者。その活躍ぶりは、コミックエッセイ『不動産屋は見た! ~部屋探しのマル秘テク、教えます』(原作・文:朝日奈ゆか、漫画:東條さち子 東京書籍 1,155円)に描かれました。同書の主人公「善良なる大阪の不動産屋さん」は、穂積氏がモデルです。

(藤井空/ユンブル)

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