「ごめん(後免)駅」のひらがな表示がかわいい

日本各地にはいろいろ個性的な名前が付いた駅があるが、それらの中でも特にユニークなものが高知県にある。それが、漫才のネタにも使われたことがあるという、いつも謝っている「後免(ごめん)駅」である。

ごめん駅は高知県南国市にあり、JR四国と土佐くろしお鉄道が乗り入れている。JR四国の列車は特急も含めて全て停車するため、県下主要駅のひとつと言ってもいいだろう。また、土佐くろしお鉄道に関しても、高知県南東部に向かうごめん・なはり線の始発駅という重要な役割を果たしている。

一駅先の「後免町」駅は、土佐電鉄の路面電車終点になっている

諸役(しょえき)を免じたのがその名の由来!

「ごめん」という駅名は1959年、合併によって南国市となった旧後免町からとられている。その後免について南国市観光協会の岩村大志さんは、「かつて土佐藩の奉行で地域の発展に貢献した野中兼山という人物が、諸役を免じたことから付けられたものです」と説明する。

実は、旧後免町は「アンパンマン」で知られる絵本作家・漫画家のやなせたかしさんが若かりし頃に過ごした地でもある(現在の南国市立後免野田小学校出身)。そうした縁から、ごめん駅にはやなせさんがデザインした「ごめん えきお君」がいる(衣装は奈半利(なはり)駅のキャラクター「なは りこちゃん」とおそろい)。

さらに、その「ごめん えきお君」の隣には、ベンチと一体になったアンパンマンの石像と「ごめん駅でごめん」の歌碑も設けられている。さらに、ごめん・なはり線の各駅には、同じくやなせさんがデザインしたイメージキャラクターが設置されている。

0・1番ホーム横の「ごめん えきお君」

「やなせたかしロード」のアンパンマン像

駅前には「やなせたかしロード」もある

加えて、駅前にある「南国市御免町商店街」には、地域の活性化を図って、アンパンマンやばいきんまん、ドキンちゃんといった人気キャラクターたちの石像が7体置かれた「やなせたかしロード」まで設けられている。

一駅東隣には、土佐くろしお鉄道の駅で土佐電気鉄道後免線の電停もある「後免町駅」があって、ここにもやなせさんがデザインした「ごめん まちこさん」がいる。この駅はやなせさんの発案により、「ごめん駅」と対になるように2004年に“ありがとう駅”という愛称まで付けられている。

後免町駅のキャラクター「ごめん まちこさん」

南国市周辺の名物のひとつ「ごめんしょうが飴」

しょうがとしゃも鍋が特産品

高知平野が開ける場所に位置している南国市は、海の幸・山の幸に恵まれ、おいしい地酒などもあるが、有名なのが「しょうが」と「しゃも鍋」だ。特にしょうがは旧後免町付近でよくとれることもあって、「ごめんしょうが飴」というオリジナルスイーツも作られ、土産品としても人気が高い。

一方、「しゃも鍋」は、龍馬が最後に食べ損ねたものとして知られている。「平成22年秋から、南国市内10カ所の飲食店でシャモ鍋をはじめ、シャモ肉を使った多彩な料理が食べられるようになりました」(岩村さん)。南国市へ行ったら、坂本龍馬ゆかりのシャモ鍋を楽しんでみてはいかがかな!?