JNCは、ソフセラが開発したハイドロキシアパタイト(HAp)ナノ粒子を原材料とし、直径が数百nmのHApナノ繊維で構成されたHAp多孔体の開発に成功したことを発表した。

HApは、化学式Ca10(PO4)62で示される塩基性リン酸カルシウムで、天然には骨や主成分として、また鉱物として存在している。また、人工的にもいくつかの合成法が確立されており、さまざまなライフサイエンス分野で活用されている。

一般的な合成HApは針状結晶凝集体からなる粒子状物のため、例えばタンパク質吸着用カラム充填材として使用した場合には目詰まりを生じるなど、扱いにくい素材だった。

今回開発されたHAp多孔体は、85~90%の高い気孔率(連通孔)と適度な力学強度の両立を実現したほか、繊維形状に由来する高い比表面積特性を有することに成功。自由度の高い製造方法であるため、気孔率は前記範囲以下にも制御可能であり、形状も円板状や円柱状などに変更させることが可能だという。

なお、サンプル提供はソフセラより2013年2月をめどに開始する予定で、その生体親和性や高比表面積特性、高気孔率特性を活かして、細胞培養基材やタンパク質吸着材、生理活性物質固定担体、触媒担体などに向けた用途開発を進めていくとしている。

電子顕微鏡写真画像 ×1万倍(左)、右は円板状に加工したHAp多孔体