水族館入り口はペンギンモチーフであふれている

水族館の華麗なる脇役、ペンギン。愛らしい歩き方やぽっこりお腹ばかりに目がいくが、実はフォルムもバラエティーに富んでいる。というのも、世界には18種ものペンギンが存在するのだ。そのうち11種の飼育実績があり、国内最多の8種、約160羽を飼育する長崎市郊外の「長崎ペンギン水族館」を訪ねてみた。

初繁殖、初パレードはこの水族館!

2002年にここで息を引き取ったキングペンギンの「ぎん吉」は、驚くことに39年9カ月間、飼育されていたという。これは世界最長記録でもある。死亡推定年齢は、人に例えると100歳を超えている。難しいとされていたキングペンギンの繁殖も、国内初はこの水族館が達成した。

今では国内数カ所に見ることができるキングペンギンのパレードもここが始まり。ある日、キングペンギンの運動不足を心配した飼育員さんが、屋外での運動を思いつき行進をさせてみた。これが思いのほか効果を発揮! ペンギンたちの体調が改善され、パレードのお披露目へとつながっていったという。

筆者が訪ねた日も、緩やかなスロープをキングペンギンたちが降りてきた。彼らの背は約90cm。いかめしげな表情に見える顔を首に乗せて、歩みはヨチヨチ。そのアンバランスが笑いを誘う。

ペンギンパレードの愛らしさには歓声があがる

飼育スタッフの松村朱加(まつむらあやか)さんは、エサを与えながらペンギンたちの体調を確認している。「自然な形でのペンギンとふれあいを楽しんでいただければと、いつも考えています」と語ってくれた。

飼育スタッフの松村朱加さんと戯れるペンギンたち

自然に近い環境の中で気ままに暮らすペンギンたち

国内最大規模・幅4mの水槽で泳ぐペンギンたちの姿はファンタジックだ。泳ぐというよりも、まるで飛んでいるよう。ペンギンは飛ぶような姿で泳ぐとうわさには聞いていたが、彼らは大空に羽ばたいていた太古の時代を忘れていないのかもしれない。

水中エサやり! なかなか見られないペンギンの水中遊泳シーンも

目玉の「ペンギンビーチ」は長崎湾に面して広がっており、自然の浜辺を生かしてペンギンを飼育できるようにしている。ビーチは3年前に完成し、今はフンボルトペンギンたちが気ままに歩いたり泳いだりしている。迷い込んで来た小魚を追う実にナチュラルな姿は、彼らが野生で暮らす南アメリカの島々以外ではそう見られるものではないという。

そんなペンギンワールドを心ゆくまで楽しませてくれる「長崎ペンギン水族館」。入場料が、なんと大人500円。幼児・小中学生が300円。これは行ってみなきゃ、ソン!である。