丸紅情報システムズ(MSYS)は、形状測定機メーカーの独GOMが開発した、自動ロボット3D形状計測・検査システム「ATOS ScanBox」の販売を12月19日より開始したことを発表した。

これまでロボットによる自動計測は、ロボットの導入計画と設置、安全規定に沿ったエリアと安全柵などの防護施設の設置、ティーチングなどのロボット操作ソフト、シミュレーションチェックソフトなど、導入に非常な手間、知識、人、時間を必要としており、動作検証から稼働開始まで数カ月以上を必要としていたほか、ロボットで計測センサを移動させた際に発生する慣性の解消など、解決しなければならない課題があった。同システムはこうした課題を解決することを目的に、非接触3D形状計測機、6+1軸ロボット、GUI型ロボット動作・計測手順プログラミングソフト、検査・解析ソフト、ボックス壁面を安全柵とした安全システムを組み合わせて構成されたもので、計測サイズによって異なる2機種が用意されている。

上位機種となる「5120」は、装置サイズ高さ2.7m×幅3.3m×奥行3.3mで、縦横奥行の各寸法が2mまでの範囲を計測可能だ。一方の下位機種の「5108」は、装置サイズが高さ2.7m×幅2m×奥行2.55mで、縦横奥行の各寸法が0.8mまでの範囲計測可能であり、今後、目的物の大きさに合わせた装置サイズの異なるシステムを順次リリースしていく予定としている。

設計データと設計データを基に製造された部品の形状比較、部品の寸法・角度の計測など、形状に関する検査を実施することが可能な装置で、一度、計測手順、検査レポート内容をシステムに登録すれば、計測作業からレポート出力まで自動化できるほか、実際の計測操作は計測対象物を計測台に設置し、スクリーンのアイコンを1クリックするだけのタッチパネルを使ったキオスク・モードで、計測からレポート作成まで簡単に行うことができる。また、通常運用時の操作も簡単でロボットの動作指定からシミュレーションまで、基本的に非接触3D形状計測機の計測操作のみでロボットの知識なくても自動計測することができるとしており、これにより3Dの形状計測および計測結果を用いた検査を行い、ロボットをはじめて扱う技術者でも、短期間で運用を開始することが可能になるという。

さらに、搬入・組立から計測業務開始までにかかる時間は、あらかじめ動作・検査手順データを作成しておくことで、最短1日で行うことが可能だという。これにより、工数の削減と業務の高速化、計測オペレータの熟練度合の差異による測定値のバラつき改善などを図ることができるようになり、例えば世界に拠点が複数ある場合でも、属人生を排除し、統一された基準での品質管理を構築することが可能になるという。

同システムの価格は3000万円(税別)から、となっており、製造業を中心に1年間で3億円の販売を目標とするとしている。なお、すでに近畿大学理工学部が2012年11月に先行導入を果たしている。

ATOS ScanBox 5120の外観

ATOS ScanBox 5108の外観