東芝は12月17日、岡山県立大学 情報工学部情報通信工学科集積回路工学研究室の伊藤信之 教授と共同で、直流帯から高周波のミリ波帯まで高精度に特性を再現できるMOS可変容量ダイオードのシミュレーションモデルを開発したことを発表した。同成果の詳細は12月4日から7日に台湾で開催された「APMC(Asia Pacific Microwave Conference)」にて発表された。

今回研究チームが開発したモデルは、さまざまなサイズが使われるため1つのモデルで実現するのが難しいとされるMOS可変容量ダイオードついて、1MHzの低周波から、今後利用拡大が見込まれる60GHzのミリ波帯において形状依存性を解析した結果を反映させた独自の式を導入することで、1モデルでの実現を果たしたもの。

同手法を用いることで、発振回路の位相雑音電圧依存性を高精度で表現できるようになり、RF-CMOS製品の低消費電力化を実現することが可能になるという。

実際に東芝にて、モデルの妥当性を65nm RF-CMOSの回路を用いて検証した結果、0.26μmから2.0μmまでの範囲のMOS可変容量ダイオードにおいて、直流から67GHzまでの範囲で高精度にモデリング出来ていること、ならびに60GHz帯で発振回路の位相雑音の制御電圧依存性を測定し、実測値とシミュレーションで比較した結果、制御電圧範囲における乖離が従来モデルより8dB向上し、モデルが実測値を正確に表現できていることが確認されたという。

なお同社では今後、注力するRF-CMOS製品開発の基盤技術として同モデルを活用していくほか、将来の応用として、CMOS回路を使ったミリ波レーダなどの開発へと展開していきたいとしている。

位相雑音@1MHz offset