東急建設と九州大学(九大)大学院システム情報科学研究院の倉爪亮 教授らは12月17日、構造物出来形即時確認システム「RaVi(Real-timearchitecture Visualizer)」を開発し、国土交通省(国交省)中国地方整備局発注の「尾道・松江自動車道下本谷トンネル工事」(広島県庄原市内) へ導入したことを発表した。

国交省は、情報化施工(建設ICT)の推進と普及を図ることを目的に各種の情報化施工推進戦略に基づいた施策を実施しており、東急建設も、この一環としてトンネルの出来形確認をテーマとした「構造物現況形状データと設計データを用いた品質確保と施工支援に関する技術の開発」における建設技術研究開発助成制度の適用を受け、研究開発を進めてきた。

従来のトンネル出来形管理は、一定区間(数十m)ごとに設定した管理断面において、トンネルの幅や高さを巻尺やレベルを用いて計測して出来形を管理していた。この検査方法は一般的に長年用いられてきたが、管理断面以外の出来形が不明であることや設計データとの位置ずれが不明であるなどの問題があった。

今回導入されたRaViは、レーザ測定器を用いた連続的な計測によりトンネル内空面の出来形を素早く計測し、その場で設計との比較を可能とするもので、トンネル出来形を取得する移動式の3次元形状計測装置および設計データと出来形データを比較照合するリアルタイム照合ソフトで構成されている。

同システムは、移動式の3次元形状計測装置により設計トンネル内空面の出来形計測を短時間で実現できるほか、3次元設計データとの比較照合を計測と同時に処理することで、出来形の即時確認が可能という特長があり、今回導入された下本谷トンネル工事では、出来形確認作業と関係者へのヒアリングなどを通じて、実用性の検証やソフトウェアの操作性などに関する改善点の抽出も行っており、これにより検査作業の効率化が期待できるようになるとしている。

なお同社では、今後はトンネル以外の構造物についても適用を行い、国交省が進めているCIM(Construction Information Modeling)をはじめとする3次元データを利用した建設生産プロセス管理手法の導入を推進していく方針としている。

構造物出来形即時確認システム「RaVi」

構造物出来形即時確認システム「RaVi」の概要