Micronasは12月13日、都内で会見を開き、同社CEOのMatthias Bopp氏が主要顧客であるデンソーを通じて、自動車分野に向けて5億個のホールセンサを出荷したことを発表した。

Micronas CEOのMatthias Bopp氏

同社は自動車と産業機器向けに集中して、CMOSプロセスを用いたホールセンサを主力製品として90年代前半より提供してきた。社員数は全世界で約900名で前工程としてドイツに150/200mmウェハ対応ラインを有しており、同じ敷地内に後工程ラインも有している。

業績としては2012年上半期(2012年1-6月期)は、売り上げの93%が自動車分野向けとなっており、残りの7%がその他分野という割合になっている。また、地域別の売り上げを見ると、アジアが62%(そのうち日本が86%を占める)、欧州が29%、米国9%となっており、全売上を見ても日本地域が半分程度を占めるという重要市場になっており、日本地域とそこで活躍するメーカーを重視していることを強調した。

Micronasの売り上げ(2012年上半期)のほとんどが自動車向けとなっている

地域別で見た場合の売上比率。アジアが中心で、かつその中でも日本が高い比率を占めている

同社の主力製品は、CMOSプロセスをホール素子(磁気の変化を受けて、電流を発生させる素子)と周辺の入出力回路などを1チップ上で形成したホールセンサIC。磁気センサのシェアとしては世界で30%。日本の自動車向けでは70%のシェアを有しているとする。

同センサ製品の適用分野は大きく4つ。1つ目がスイッチのオン/オフ用途。例えばシートベルトのバックルスイッチなどで活用されているという。2つ目がリニア部分で、アクセルの踏み込み角度を検出したり、スロットル部のアクチュエータ制御などに用いられる。こうした自動車のさまざまなコンポーネントに対し、メカニカルな部分を持たないシステムの構築が可能であるため金属疲労や金属片などのゴミなどが生じないというメリットがあるとする。また、3つ目は角度測定分野で、回転角を最大360度まで検出することが可能なため、ステアリングなど角度を2次元-3次元で測定するなどの用途で活用されているという。そして4つ目は電流検知として、特殊用途ながら磁石の強弱による電流値の検出に適用されているとする。

同社のホールセンサICの概要と、自動車分野における適用範囲。現状、スイッチ/リニアが中心となっているという

このほか、組込分野も含めたブラシレスDCモーターなどに向けた細かなコントロールを実現するマイコン内蔵コントローラチップも提供しており、ホールセンサを直接接続することで細かな制御が可能なソリューションを実現しているとする。この自動車用ブラシレスDCモーター市場としては、現在でも1台あたり30個くらい(主なアプリケーションとしては、エンジンルーム内のファンやバッテリなどの冷却ファン、オイル循環用モーターや、冷却液などの循環用モーター、各種アクチュエータ、パワーウィンドゥ、サイドミラーなど)用いられているが、今後、さらに多くのブラシレスDCモーター技術などが活用されることが期待されることから、自動車市場向け半導体全体の伸びよりも高い伸びが期待できるとしている。

ブラシレスDCモーターなどのコントロールを実現するコントローラの概要

また2011年よりガスセンサ向け技術の開発を進めているとのことで、最大4種類のガスを検知することが可能となる予定だという。主な適用分野としては煙感知/火災検知センサやHVAC(Heating、Ventilation and Air Conditioning)、そして工場/工業用地でのガス漏れ検知などを想定している。

新分野としてガスセンサ向け技術の開発が進められている

なお、同社の主な国内顧客としては、デンソーのほか、東海理化電機、アイシン精機などがあり、国内全体で300社程度の企業との取引を行っているとのことで、今後は産業機器分野への積極的なアプローチも行っていくことで、さらなる事業の拡大を目指すとした。