お部屋探し広告の「これだけはチェックしたいポイント10」_ 後編

入居者募集広告では、宣伝のためにいろいろなからくりがある、と聞きます。そのチェックポイントの後編、4番目以降をお届けします。

「快適で安全な一人暮らし」をテーマに活躍する不動産アドバイザーで宅地建物取引主任者である穂積啓子さんにお話を伺いました。【これだけはチェックしたいポイント10_前編はこちら


■部屋の面積が広告の表示より狭いのはなぜ!?
4)面積――専有面積って何? ベランダも含まれる?

穂積さん:マンションやアパートなど集合住宅は、「専有(せんゆう)スペース」と「共有スペース」とに分かれます。専有スペースとは、自分が専有できる場所、つまり自分の部屋のことです。共有スペースとは、玄関や廊下、駐車場、駐輪場を指します。実はベランダは、緊急のときの避難通路になるため、共有スペースになります。

つまり、広告にある専有面積の数字には、ベランダは含まれません。

――20㎡と聞いて計測したら、18.5㎡しかなかったのですが?
穂積さん:専有面積積の測り方は、「壁芯(かべしん)面積」と、「内法(うちのり)面積」の2種類があります。壁芯面積とは、部屋を真上から見たとして、壁のまん中から広さを測るという方法です。実際には使えない壁の分まで含まれてしまうわけです。
また、部屋全体の天井が高くなるので、開放感がある、空間が広く感じる、おしゃれに見えるなど、マイルームの楽しみ方が増えます。

内法面積は、壁の内側、実際に使える面積を測ります。当然、内法のほうが狭くなります。

混乱させられることですが、建築基準法では壁芯面積が、不動産登記法では内法面積で表記されることになっていて、物件の案内書にどちらを書くかは表記者次第となるため、ご質問のような事態になることが多々あります。

特に、分譲賃貸マンションでは壁芯面積での表記が多く、賃貸マンションでは実際に測ってみないと分からない、というのが現状です。また、一般的に、壁芯面積と内法面積の違いは、5~10%です。10%とすると、壁芯面積が20㎡の場合、実際に使える面積は2㎡も狭くなってしまうのです。

このことを知っておき、広告表示をうのみにせず、内見のときに自分で内法を測るようにしましょう。

5)方角――北向きの部屋は家賃が安い?
穂積さん:方角は、ベランダがどちらを向いているかを示します。通常は南向きが人気がありますが、朝型の生活の人は東向きを、夜型の人は西向きを選ばれる傾向もあります。

北向きは太陽が差し込みにくいので湿気、暗さなどの点でほかの方角よりは人気がなく、空室になりがちなので、家賃は比較的安くなります。ただし、南向き、東向きだからといって、正面に高い建物がある、住み始めたときはなかったけれど1年後にビルが建って日差しがさえぎられたということがよくあります。

内見のときに、ベランダや窓の正面に何があるかを確認しましょう。空地や駐車場があるなら、いずれは高い建物が建つと想定しておきましょう。

6)築年数――新築とはいつまでのことを指すの?
穂積さん:新築とは、「建物が建築されてから1年以内で、まだ誰も入居していない状態」を言います。建ってからまだ3カ月でも、誰かが一度でも入居したことがある場合は新築とは呼びません。

築年数が古いほうが家賃は安くなります。一般的には、築10年を超えると安くなっていきます。

7)建物の種類――SR造って何? 防音性は関係ある?
マンションの場合、その造り(構造)によって、「S造(鉄骨造)」、「RC造(鉄筋コンクリート造)」、「SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)」の3種があります。

強度は、「S造」→「RC造」→「SRC造」の順に高くなります。防音については、「S造」より「RC造」と「SRC造」のほうが、壁がコンクリートなので効果があります。「RC造」と「SRC造」の防音性は同じ程度と言われます。

建築のコストから、家賃も強度の順に比例して高くなりますが、騒音が気になる人は特に、この項目をチェックしてください。

8)設備――前の入居者の照明を替えたいのだけど?
穂積さん:エアコン、シャワートイレ、食器洗浄機、照明器具、ブラインドなどは、貸主が用意した「設備」と、前の入居者による「残留物」とがあります。

設備は、修理や入れ替えは貸主負担ですが、残留物の場合は貸主はその性能を保障しません。入れ替えや退去時に処分する場合の費用も、借り主の負担になります。照明ならまだ処分しやすいですが、エアコンや食器洗浄機となると、工事や廃棄にも処分料がかかってきます。

契約前に受ける「重要事項説明」の際に、設備か残留物かは説明がありますので、残留物が不要なときは貸主にはっきりとそう伝え、自分の引越前にあらかじめ処分してもらいましょう。

また、最近の設備の注目は、インターネット回線とセキュリティでしょう。気になる人は、これらがあるか、また性能はどうかもチェックしてください。

9) 入居の条件――入居者が増える予定がある
穂積さん:入居に際しては必ず、「単身者専用」、「二人入居可」、「ペット可」、「楽器不可」、最近では「禁煙専用」などの条件があります。ペット可であっても「小型犬1頭に限る」など、さらなる条件もあります。
ワンルームはほぼ単身者専用なので、同せいや友人とのルームシェアを始めると契約違反で退去させられる、違約金の支払いが必要になるときがあります。契約前に自分のライフスタイルに応じた条件かどうかをきちんと確認しましょう。

10)入居時期――いつから家賃を払うの?
穂積さん:「即入居可」とあれば、「現在空室ですぐに入居できる」ということですから、貸主にすれば、すぐに家賃が欲しいところでしょう。

しかし、借り主としては、移転の準備、現在の部屋の家賃がかかっているなど、引越までの準備期間中、つまり住むことができない期間にはすぐに家賃を払いたくはありません。事前の掃除や移転準備を考えて、入居の1週間ほど前を契約日とするのが理想でしょう。それらをよく考えて不動産屋に入居(引越)の希望日を伝え、契約日を調整してもらえるかどうかの確認をしましょう。月の途中からなら、日割り計算で家賃が発生します。

――ありがとうございました。

何枚もの募集広告を見ていると、何かしら疑問が起こってくる、また、部屋の背景が見えてくることがあります。広告や物件案内書を賢く読み取る、情報をうまく集めることが、良いお部屋探しの道しるべとなることは間違いありません。


監修:穂積啓子氏

「安全で快適な一人暮らし」、「女性の安全な暮らし」をテーマとして活動する不動産アドバイザー。宅地建物取引主任者。その活躍ぶりは、コミックエッセイ『不動産屋は見た! ~部屋探しのマル秘テク、教えます』(原作・文:朝日奈ゆか、漫画:東條さち子 東京書籍 1,155円)に描かれました。同書の主人公「善良なる大阪の不動産屋さん」は、穂積氏がモデルです。

(藤井空/ユンブル)

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