慶應義塾大学(慶応大)グローバルセキュリティ研究所は12月10日、ロボット技術を応用した未来のパーソナルモビリティ(1人乗り移動機器)「Curimo(キュリモ)」を企画構想し、その成果をWebサイトにてプロトタイプ化し、同日よりインターネット上でアンケートによる受容性評価を開始したことを発表した。

同評価は、ロボット技術の応用によって人間の共感力を引き出す「共感インタラクション」をテーマとするロボティックサービスデザイン研究プロジェクトの一環として、同大経済学部教授でグローバルセキュリティ研究所副所長の武山政直氏が統括する形で実施されているもので、パーソナルモビリティを提供する架空企業「コラボティクス」が、2028年にロボット技術を応用したパートナー型パーソナルモビリティ"Curimo"を発売することを想定し、その製品とサービスの概要や魅力を、架空の製品や企業のWebサイトを通じてプロトタイプ化したというもの。

Webサイトでは、一般の生活者にその購入や利用の場面を実感をともなって提示が行われるほか、そこに描かれた構想の評価や改善につながる意見やアイデアの募集が行われる。

Curimoはロボット技術を応用することで、人工物に対する人の共感力を引き出し、そのことを通じて、ユーザの好奇心や行動を動機付け、より活動的な生活スタイルの習慣化を支援していくという、これまでに無いロボットやモビリティの姿を提案するもので、そのような人の共感力の喚起は、「Curious Engine」と呼ばれるモビリティ自体の好奇心追求行動プログラムと、人間との共感インタクラクションを通じて実現されるという。

サービスデザインの分野では、こうしたプロトタイプ手法を「リバース考古学」と呼んでおり、まだ見ることのできない未来社会の暮らしやビジネスを、その証拠物件を通じて想像的に描き出す効果を持つとされており、今回の取り組みについて研究チームでは、この未来シナリオを前提とし、これからの社会におけるロボット技術の意義や、その研究や応用から誕生するサービスやビジネスのイノベーションの可能性について議論が始まるきっかけとなることを期待しているとコメントしている。

なお、実施期間は2012年12月10日から同31日までの間で(実施期間は進行状況に応じて変更する可能性がある)、参加方法は専用Webサイト内のアンケートページにて、全10個の質問に対して、アンケート形式で順に回答することで行われる。

CurimoのWebサイトにアクセスすると、最初にこのサイトの意図が表示される

Curimoの外観(左)。Webサイト上には、Curimoのできることを増やす架空のアプリケーションストアも用意されている(右)