凸版印刷、早稲田環境研究所(WEI)、積水化学工業(積水化学)の3社は12月11日、共同で、環境省の「平成24年度HEMS(Home Energy Management System)利用の付加価値向上のための調査事業」を、2012年12月中旬から本格的に実施すると発表した。

すでにHEMSを設定している世帯から約1,000世帯程度のモニターを募集し、データを幅広く収集。さらに、より詳細にHEMSデータを分析するために約20世帯程度のモデル世帯を募集し、世帯の属性データだけではなく、生活行動調査などの詳細な非電力データを収集する。

そして、HEMS事業者の市場動向を整理するとともに、HEMSを導入する生活者へのヒアリングによって、より効果的なCO2削減アドバイスを行う。

また、流通の商品・チラシ情報をはじめとする生活必需情報や娯楽といった生活に密着したサービスにエネルギー情報を付加し、HEMS導入のモチベーションを高めるとともに、継続利用が促進されるという仮説を検証する。

そのほか、企業によるHEMSデータの利活用を想定し、「人の所属(家族構成・役割)」に着目したHEMSデータの分析を行う。具体的には、家庭におけるエネルギー削減ポテンシャルの推定や、エネルギーデータも含めたライフログ情報の分析を通じて「効果的なCO2削減のための情報提供」や「インセンティブ(CO2削減ポイント)の付与」、「企業のマーケティング」で有効利用できる手法開発を目指す。

想定する検証モデル

同事業における3社の役割として、凸版印刷は、「情報加工」、「情報管理」、「情報提供」のノウハウを活かし、HEMSサービスの価値向上や大規模なHEMSデータの利活用・情報保護など、事業全体のサポートを実施。また、企業のカスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)やキャンペーン事務局業務のノウハウを活用し、家庭での省エネ行動を動機づけるモチベーション向上施策など、生活者の消費行動変容につなげるコミュニケーション手法やプロモーション施策を支援する。

WEIは、HEMSデータの有効利用に向けて、家庭のエネルギー削減ポテンシャルの算出や、HEMSデータのライフログ化など、高度な分析を行う。

積水化学は、新築住宅へHEMS標準搭載を行ってきた実績を活かし、環境省が推進する家庭向けの省CO2診断(対面診断)の効果をHEMSデータを用いて検証するとともに、HEMSデータを基にして住まい手へ省エネ提案を実施する手法などを検討する。