凍てつく大地に忽然と現れる不思議な光の柱

白い雪の大地に天から神が降りてくる……かのように見える神秘の現象を、凍(い)てつく季節の北海道で目の当たりにすることができる。空と大地をつないでいるかのような不思議な光の柱が、ある一定の自然条件がそろった時に現れるのだ。「サンピラー」と呼ばれるこの大気光学現象は、北海道に暮らす人でもなかなか見ることができない。

ダイヤモンドダストが照らされて現れるサンピラー

サンピラーは気象条件によって様々な姿を見せる

サンピラーは日本語に訳すと「太陽柱」。厳冬期、北海道の中でも特に寒い地域では、“ダイヤモンドダスト”と呼ばれる氷の粒が舞う現象が起こる。サンピラーはこのダイヤモンドダストに、一定の角度から太陽光が当たった時に発生しやすい。

早朝や夕方近くの時間帯に発生することが多いとされているが、運が良ければそれ以外の時間帯に見られることもあるらしい。何せいつ起こるか分からない自然現象。すんなり出会えたら強運だと自負していいくらいだ。

極寒のなか現れる神様のような存在!?

ダイヤモンドダストは、気温が氷点下20℃以下にならなければ発生しない。北海道の中でも、そこまで寒くなる地域は限られている。道北や道東などがそれにあたる。

北海道では道北の名寄(なよろ)市が、最もサンピラーに出会いやすい場所として有名だ。市内には「サンピラー」の名を冠した温泉や施設などもある。つまり、サンピラーを見ることができる確率が高いことが、町のウリになっているということだ。

自然の天体ショーだけに出くわすのはなかなか困難だが、奇跡を信じて、北海道の大地を闊歩(かっぽ)して寒さの極限を体感することは、それだけでもいい思い出になるだろう。鑑賞の後は温泉などでゆっくり身体を温めると、寒い思いをした分、気持ち良さが倍増する。

サンピラーを見て冷えきったら「なよろサンピラー温泉」へ

サンピラーは天変地異の前兆?

ところで、サンピラーは寒冷地だけでしか見ることができない現象ではない。極寒の中で発生するダイヤモンドダストは太陽光を反射させやすいため、確かに冬の北海道で出会いやすいことは間違いない。しかしまれに、サンピラーは寒冷地以外でも遭遇することができるという。

不気味なことに、サンピラーは地震や異常気象のサインであるという説が、まことしやかに流れている。サンピラーは、気温や地形、風の強さなど様々な条件が重なった時に発生する。そのため、場所によっては地震や異常気象の前触れとして発生する確率が高まるという道理には納得できる。

とはいえ、サンピラーが神々しいものであることに変わりはない。目の前で発生する様を眺めることができたら、不気味どころか大吉兆の予感でいっぱいになること必至。この冬はぜひ、あなたも北海道で神秘体験をどうぞ。

極寒の天体ショー

●information
なよろ温泉サンピラー