歌舞伎俳優の市川海老蔵が主演し、千利休を演じる映画『利休にたずねよ』(2013年12月公開予定 田中光敏監督)のロケが3日、滋賀県・大津の三井寺で行われ、海老蔵のほか大森南朋、福士誠治が撮影に臨んだ。

左から、福士誠治(石田三成)、市川海老蔵(千利休)、大森南朋(豊臣秀吉)、田中光敏監督

同作は、山本兼一氏による第140回直木賞受賞作の同名小説を映画化した作品。戦国時代に大阪・堺で商家の家に生まれながら、抜群の美的センスを持ち合わせていたことから豊臣秀吉に認められ、茶の湯を大成した千利休が、秀吉に嫌われ切腹させられた真相に迫る。これまでは、侘び茶人として描かれることが多かった利休を、同作では情熱的な人物として、新しい利休像を描いている。

この日は、秀吉が主催した北野大茶会で、利休(市川)のお点前に驚く秀吉(大森)のシーンが撮影。総勢170名のエキストラが参加する中、田中監督は「原作でも重要な大きなシーンなので、1500席の茶席がたった大茶会を再現しました。この三井寺は、秀吉ともゆかりのある場所なので、本作にふさわしい場所です」と話しており、大規模な撮影となった。

取材に応じた海老蔵は、撮影について「19歳から69歳までを演じつつ、映画は順通りの撮影というわけではないので、苦心しながらやっています。利休は静という、静かなもののなかでどのように精神を描写していくのが大変です」と苦労もある様子。利休を演じるにあたって茶道の練習に励んだといい、「幼いころから茶道はたしなんでいましたが、皆様の前で披露させていただく為には、相当練習しました。利休さんについて書かれた、本や原作はもちろん読んでいましたが、実際に長次郎の器を拝見したり、利休さんが実際に削った茶杓などを見つけて、触らせてもらうと、どう利休さんが感じたのか、インスピレーションを感じました」と意欲的だった。