電通、東京大学先端科学技術研究センター(東大先端研)、ロボ・ガレージの3者は11月29日、3者が進めてきた国際宇宙ステーション(ISS)に滞在するヒト型コミュニケーションロボットの共同研究「KIBO ROBOT PROJECT」において、仕様と2013年夏の打ち上げが決定したことを発表した。

同プロジェクトは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)による公募「『きぼう』を利用した社会課題解決テーマのフィジビリティスタディ提案」に採択されたもので、ISSの日本実験棟「きぼう」内において、宇宙飛行士と自律動作および遠隔操作によるコミュニケーションを行ったり、地上に向けて情報発信したりするロボットの開発を進めてきた。

ロボットは2013年2月の完成予定で、現在、日本各地の優れた技術を有する企業各社の協力のもと、東大先端研とロボ・ガレージにてロボット本体の開発が進められているほか、電通が会話コンテンツの作成を進めている。また、今回、トヨタ自動車が新たにプロジェクトへの参画を決定、音声認識技術や自然言語処理によるロボットの知能化を担当するとのことで、これによりトヨタ自動車は、「人との共生」を目標とする同社の「トヨタパートナーロボット」開発や対話型サービスなどに資する技術の蓄積、データの収集などを目指すとしている。

同ロボットは同年夏にISSへと打ち上げられ、同年冬に日本人初のISSコマンダーとなる若田光一宇宙飛行士と対面し、"宇宙における人とロボットとの対話実験"が実施される予定。また、併せて同じ仕様のロボットがもう1体作製され、地上での同プロジェクトの活動紹介やバックアップなどに活用される予定だという。

KIBO ROBOT PROJECTでは、今回の打ち上げ決定を機に、Webサイト上にて、宇宙に打ち上げるロボットおよび地上で活動するロボット、2体それぞれの名前の募集を開始している。応募は、何口でも可能だが2体1口での応募となり、以下の7つの項目を専用フォームに記入して行う形となる。

  1. 宇宙用ロボットの名前
  2. 地上用ロボットの名前
  3. 名前
  4. 年齢
  5. 住所
  6. メールアドレス
  7. 電話番号

なお、同応募においては注釈として、名前に係る一切の権利(著作権法第27条および第28条に定められる権利を含む)を無償で事務局に譲渡すること、また、名前に関して著作者人格権の行使をしないことが明記されており、名前使用にかかる一切の権利は、事務局が保有するものとなる。

締切は2013年1月10日の12時で、発表は2013年2月のロボット完成時を予定しており、採用者には、メールで事前に連絡される予定。また、採用者の中から抽選で1名に2013年夏に予定されているロボット打ち上げに関係者とともに立ち会いに招待される権利が与えられるという(抽選者のほかにもう1名まで招待されるが、抽選者が未成年の場合は保護者となる。招待は自宅から打ち上げ場までの往復交通費と2泊分の宿泊費を事務局側で負担する形で提供される)ほか、額装したロボットのデザイン原画もプレゼントされるという。

そのほか、応募者の中から抽選で5組10名に「JAXA筑波宇宙センター KIBO ROBOT PROJECT 特別見学ツアー」と題したイベントへの招待も行われるという(イベントは東京駅の発着を予定しており、東京駅までの交通費は参加者負担とのこと)。

ロボットのデザイン。本体寸法は身長約34cm、全幅約18cm、奥行き約15cm、重量は約1,000g。日本語で会話が可能で、音声認識機能や自然言語処理、音声(発話)合成、コミュニケーション動作のほか、情報通信機能や顔認識カメラ、記録用カメラなども搭載される予定。なお、デザインや仕様は今後変更になる可能性があるとのこと